山下泰平の趣味の方法

これは趣味について考えるブログです

明治文化

五〇年間ずっと嘆き続けながら問題を放置した日本社会

放置され続けた苦学問題 世の中には様々な問題が存在している。問題を解消すると問題は消滅するわけだが、別に死ぬわけでもないだとか、面倒クセーだとか俺は困ってない、テレビでスーツ着た奴がなんかしゃべってたしこの政党で良いのでは? などといった理由…

戦前に学問をしたい苦学生はいなかった

諸事情があり、戦前の苦学を調べ続けていた。色々なことが解ったのだが、その中で最大の驚きは、学問をしたい苦学生は(ほぼ)いないという点であった。ちなみにここでいう苦学生とは、小学校を卒業したものの家が貧乏で進学できず、働きながら学問をしようと…

野心を持つ先生がいた時代

賄賂が欲しい先生 今となっては廃れてしまったが、かって教師の仕事が聖職とよばれたことがあった。現代でも学校の先生はどちらかというと善良な人が多く、野心とは縁が遠いような印象がある。しかし明治から大正時代のある時期までは野心を持ち、教師という…

かって学校に住む子供教師がいた

学校に住む子供先生がいた 明治時代、小学校教師の数が足りない時期があった。これを解消するため、小学校を卒業した後に資金の問題で進学が出来ない村一番の秀才の子供を、そのまま教師にしてしまう流れができた。 周囲の大人が勉強を続けたいのであれば代…

自助と立志はセットです

自民党は「自助」って言葉をよく使うらしい。ちょっと調べたところ以下のようなものがあった。 自助・共助・公助、そして絆 日本の文化、伝統、歴史に裏付けられた英知の結集と「自助」「共助」「公助」の精神を総動員する 「自助」は、日本人が大切にしてき…

ゴールデンカムイの不死身の杉元と明治の不死身キャラの類似性とその進化について

ゴールデンカムイが完結した。せっかくなので全部読んだ。主人公がやたらに「俺は不死身の杉元だ!!」と叫ぶのを読むうちに、そういえば明治時代にも不死身キャラがいたなと思い出し、少し似ているところがあるなと、軽い気持で書き出したのがこの記事なのだ…

恵まれた人の苦労話が嫌われやすい時代

スタンフォード大学に入学した若者が批判をされていた。当事者の人や出来事そのものに対して思うところは特にないが、その批判のされ方はかなり興味深かった。揉め事を面白がっていたわけではなく、ここ数年、調べている領域に関係していたからだ。しかし私…

職場で流行らせたらなぜか効率が上がった言葉を紹介する

なぜか上手くいった 人間は自由だからなにしてもいいしなにもしなくてもいい それお前の趣味な そんなにしたいならお前がすればいいのでは? 嫌だししたくない どうでもいいしなんでもいい なんでこんなことをしたのか 明治から続く感じのもの 雑感 なぜか上…

明治時代に金を払わず商品を仕入れ格安で売って富豪になったオッさんの謎

オッさんの謎 『裸一貫より成功せる成金の生立蒼竜窟主人 著 三盟舎 大正八(一九一九)年』で、明治時代に金を払わず商品を仕入れ、格安で売って富豪になったオッさんが紹介されている。ちょっと意味が分からないと思うので要約してみよう。 平岡浩太郎は国家…

食堂で暴れる明治時代の学生たちが自炊を始めるまで

明治の若者たちがなにを考え、どう行動したのかといったようなことを調べている。最近になってエリートたちの感覚が、ゆるやかに全ての人々へと広がっていく傾向があるなと気付いた。そういった流れの中から、今回は自活や独立が自炊へと至る現象について紹…

自虐史観と私たちの実践科学

今年の2月くらいから『私たちの実践科学』なる本を紹介するために準備してたんだけど、難易度が高すぎるので止めることにして、かわりにとりとめのないことを書くことにした。今回はとりとめもないことを書くことに決めたので、情報の精査はあんまりしていな…

明治の若者たちはいかに無銭旅行を成功させたのか

この記事では明治時代の若者たちがいかにして無銭旅行を成功させたのか、その手法を中心に2万文字かけて解説している。 無銭旅行があった 無銭旅行とはなにか 若者たちは無茶をする 短期間だから無銭旅行ができた 人を殴ったり投げたりしたので無銭旅行がで…

かって葡萄酒は健康飲料だった

かって国産ワインは健康飲料だった。 京城日報 1918-10-26 規那鉄葡萄酒は違和感のある名前だが、規那(きな)はキニーネの原材料となる植物、鉄はそのまま鉄分で、ようするに超健康に良い葡萄酒だということなのだろう。 京城日報 1918-04-18 赤門葡萄酒は東…

デモ紳士の謎

昔の書籍や新聞雑誌を読んでいると、デモ〜といった表現が登場することがある。デモ紳士、デモ美女、デモ先生などなどである。 『ブラジルに在る同胞青年は意気地が無いとか或は『今頃の青年はノンプレスタ』とか云つて徒に在伯青年をアタマからクサスのは良…

猫好きで収集癖のある男が大正二年に書いた一日一善日記について調べるうち空論の時代へと行きついてしまった

前書き 今回の記事はものすごく長い。一日一善を扱った内容で30000文字以上ある。私が書いたブログの記事としては最長だ。 もともと軽い気持で一日一善について調べ出したのだが、関連事項は広がり続け調査に予想外の時間がかかってしまった。そもそもなんで…

無為無策だとどうなるのか試してみたら普通に無為無策なことをしたような結果だった

『忍術漫遊 戸澤雪姫』を電子書籍にした 大昔に、アマゾンジャパンには電子書籍を売る機能がなかった。その時にルールの穴のようなものをついて、強引に電子データを売ったことがある。なんでそんなことをしたのかっていうと、したかったからしただけで深い…

子規の無謀、漱石の豹変、龍之介の演出、三者三様の夜間旅行

明治時代の忘れ去られた文化を調べている際に、正岡子規、夏目漱石、芥川龍之介が、それぞれ夜間旅行をしていたことに気が付いた。それぞれの旅行を比較するとなかなか面白く、記事としてまとめてみると16000文字くらいの長さになった。 夜間旅行があった 子…

ゴールデンカムイに触発されて明治四十三年に書かれたアイヌのヒロインと不死身の豪傑が旅する講談速記本を24000文字くらいかけて解説することにした

ゴールデンカムイが面白い 明治娯楽物語における北海道の扱い 源八郎とヒロインの出合い 殺し合いの後で友達になろう 源八郎がロシア人になった理由 シャマケンは源八郎のため奔走し源八郎はロシアへ渡る 学習漫画的側面 苦学生という存在 源八郎とシャマケ…

明治四二年の雑で粗削りなフェミニズム

明治四二年に雑で粗削りなフェミニズム運動が発生していたので、10000文字程度の記事にまとめた。お時間のある時にでもどうぞ。 かって二つの事件があった 「おきみ」事件の顛末 「二十六女」を助けようとした人々 「おきみ」と「二十六女」 妙な形の文化が…

戦前の日本語新聞を読んで遊ぶ

戦前の新聞を読もうと思った 今年は自分が調べているジャンルをいろいろとまとめることができた。さらなる暇潰しがしたくなったので、戦前の新聞を本格的に読み新しい調べたいジャンルを探すことにした。 暇潰しのために興味深いジャンルを探し出し、しばら…

本を書くためにやったことと感想のまとめ

本を書いた。わりと苦労した。内容についてはおいておいて、本を発売するまでにやったことと感想をまとめておく。 私は日本全国に意味の分からないことを調べている人が沢山いるんだろうなと思っていて、そいういう人々が色々と発表するような世の中になって…

誰でも絶対に出来る上に全く面倒くさくない瞑想法

最近は瞑想がブームみたいなんだけど、面倒くさい。それじゃどうしたら良いのかっていうと、簡易生活的にやればよろしい。 簡易生活のテクニックのひとつに、毎日やることと一緒になにかしたら続くっていうのがある。これを瞑想に応用する。 具体的にどうす…

大河ドラマのいだてんで思い出した真偽不明の話

いだてんっていうドラマが放送されているのを知って、かなり昔に聞いたか観たか読んだかした真偽不明の話を思い出した。 明治時代、あるオッさんが人力車の車夫を集め、メダル狙いでオリンピックに出場させようとするんだけど、アマチュアリズム(プロは参加…

今のところ高校の古典はそのままにしておいたほうがいいと思う

私は明治あたりの文化を調べて遊んでいる人なんだけど、基本的に社会の状態とは関係なく技術は進んでいくが、文化はあっけなく後退したりする。そんな時にはなるべく触らないっていう方策を取るしかない。金ないから古典焼却したほうがいいけど、元号を決め…

新年明けましておめでたすぎるのでお正月向けめでたい明治の娯楽作品を紹介します

お正月はめでたい。だからお正月にはめでたい本を読むのが良い。縁起が良い感じがする。落語なんかでも正月向けのネタがあり、とにかくめでたいものがお正月には向いている。というわけで、お正月向けめでたい明治娯楽作品を2つ紹介していきたい。 『天人娘 …

忠臣蔵は大正時代にも飽きられていた

昔から飽きてた 気が付けば忠臣蔵の人気や知名度が無くなっていたみたいな話をインターネットで見掛けたんだけど、大正時代くらいには忠臣蔵に飽きてる人は多かった。江戸時代くらいから忠臣蔵をアレンジした物語は書かれていたのだから、大正時代以前から忠…

明治の考え方『簡易生活』を読み解き実行する

明治時代に簡易生活という考え方が流行していた。この考え方は日本に深く根付き、良い反応も起こせば、悪い結果を残したりもしている。 今更明治の考え方なんてと思われるかもしれないが、知っておくことで様々な文化をより深く理解することができる。現代で…

オリンピックでサマータイムがマジだった

最近スゲー暑いしオリンピックでサマータイムを導入しますッ!!!みたいなニュースがインターネットに流れてて、またインターネット糞サブ野郎が、換気扇のファンにくっついてる黒いネバネバそっくりのジョークを披露しているのかーって思い、我知らず笑みがこ…

『男が泣くな』はいつ発生したのか

日本には男が泣くなッ! っていうような概念がある。平均的な日本人が「男が泣くなッ!」と聞いて、思い付くのはこの名場面であろう。 『魁!!男塾 31 黒幕の正体!! の巻 (ジャンプコミックス) 集英社 宮下あきら 1991』 『魁!!男塾 33 武幻城崩壊!! の巻 (ジャ…

どうして練習中に水を飲んではいけなかったのか

昔の運動部は練習中に水を飲むのが禁止されていたりしたんだけど、なんでそんなことになっていたのか謎である。 体育会系は馬鹿だからだッ!!!みたいな人もいるんだろうけど、私はなんらかの習慣が発生したのには理由があるっていう考え方をする人なんで、ち…