山下泰平の趣味の方法

これは趣味について考えるブログです

苦学生と徒歩旅行

お前らに戦前の苦学を成功させることはできないし希代の詐欺師や超能力を持つ教祖ですら失敗している

戦前の苦学は不可能 諸事情があり、戦前の苦学を調べ続けていた。 田舎の貧しい家庭に生れた若者が家出をして、無一文で東京にまでたどり着き、新聞牛乳配達などで学費を稼ぎ出す。なんとか学校を卒業し見事に出世する……といった物語が明治期に好まれた。本…

戦前に学問をしたい苦学生はいなかった

諸事情があり、戦前の苦学を調べ続けていた。色々なことが解ったのだが、その中で最大の驚きは、学問をしたい苦学生は(ほぼ)いないという点であった。ちなみにここでいう苦学生とは、小学校を卒業したものの家が貧乏で進学できず、働きながら学問をしようと…

明治時代の苦学生を騙す貧困ビジネス

苦学生を失敗させて儲けよう 明治の三〇年あたりから昭和一五年くらいまで苦学が流行し続けた。苦学とは自ら稼ぎながら学資を得て学校を卒業することである。 戦前の苦学生は基本的に失敗する。なぜなら苦学を失敗させるような仕組みが、明治三五年には構築…

人類史上最難関試験が明治大正時代に実施され一矢報いる者たちがいた

最難関試験が明治大正時代に実施されていた 専検試験の難易度について 師範学校は危険 赤鬼がみなふるひ落す 合格者ゼロ人試験 一矢を報いる者たち 試験の難しさ 最難関試験が明治大正時代に実施されていた この世の中には難しい試験が存在する。難しい試験…

明治大正時代の学生の戦闘力とその強さの理由

今回は明治大正時代の学生や書生の戦闘力と、その強さの理由について考察していく。 フィクションで活躍する学生たち かって学生や書生が一種のヒーローであった時代があった。そして明治から大正時代には、学生や書生を主人公とした冒険活劇がいくつも書か…

自助と立志はセットです

自民党は「自助」って言葉をよく使うらしい。ちょっと調べたところ以下のようなものがあった。 自助・共助・公助、そして絆 日本の文化、伝統、歴史に裏付けられた英知の結集と「自助」「共助」「公助」の精神を総動員する 「自助」は、日本人が大切にしてき…

恵まれた人の苦労話が嫌われやすい時代

スタンフォード大学に入学した若者が批判をされていた。当事者の人や出来事そのものに対して思うところは特にないが、その批判のされ方はかなり興味深かった。揉め事を面白がっていたわけではなく、ここ数年、調べている領域に関係していたからだ。しかし私…

明治時代に金を払わず商品を仕入れ格安で売って富豪になったオッさんの謎

オッさんの謎 『裸一貫より成功せる成金の生立蒼竜窟主人 著 三盟舎 大正八(一九一九)年』で、明治時代に金を払わず商品を仕入れ、格安で売って富豪になったオッさんが紹介されている。ちょっと意味が分からないと思うので要約してみよう。 平岡浩太郎は国家…

主婦が旦那の給料で大学院に行くのは駄目だ的な感覚はどこから来たのか

はじめに 主婦が旦那の給料で大学院に行くのが駄目な理由のようなもの 学問というものは自分の力で修めるべきものである 学問というものはリターンがある実利的なものである 学問というものは生活から離れた高尚なものである 謎の感覚は多い はじめに ちょっ…

明治の若者たちはいかに無銭旅行を成功させたのか

この記事では明治時代の若者たちがいかにして無銭旅行を成功させたのか、その手法を中心に2万文字かけて解説している。 無銭旅行があった 無銭旅行とはなにか 若者たちは無茶をする 短期間だから無銭旅行ができた 人を殴ったり投げたりしたので無銭旅行がで…

一九二〇年の東京で貧しい若者が苦学に成功する方法・金子文子の場合 39000文字

一九二〇年の東京で貧しい若者が苦学に成功する方法 どうすれば金子文子は卒業できたのか 苦学と金子文子の状況と 小学校時代 優秀であるがゆえの悲劇 文子の痛手 文子の上京 幸運な上京 文子の戦略ミス 厳しい苦学界 苦学の真実 嫌な社会 女性の苦学は難し…

明治・大正の人々によるキリスト教に対する誤解を紹介する

明治や大正の人々の中には、完璧に間違っている目的でキリスト教に入信しようとする者たちがいた。 キリスト教に限らず情報量が少ないと誤解や勘違いをしてしまうものだから、仕方ないといえば仕方ないわけだが、それにしてもこれはちょっとダメだろといった…

猫好きで収集癖のある男が大正二年に書いた一日一善日記について調べるうち空論の時代へと行きついてしまった

前書き 今回の記事はものすごく長い。一日一善を扱った内容で30000文字以上ある。私が書いたブログの記事としては最長だ。 もともと軽い気持で一日一善について調べ出したのだが、関連事項は広がり続け調査に予想外の時間がかかってしまった。そもそもなんで…

子規の無謀、漱石の豹変、龍之介の演出、三者三様の夜間旅行

明治時代の忘れ去られた文化を調べている際に、正岡子規、夏目漱石、芥川龍之介が、それぞれ夜間旅行をしていたことに気が付いた。それぞれの旅行を比較するとなかなか面白く、記事としてまとめてみると16000文字くらいの長さになった。 夜間旅行があった 子…

ゴールデンカムイに触発されて明治四十三年に書かれたアイヌのヒロインと不死身の豪傑が旅する講談速記本を24000文字くらいかけて解説することにした

ゴールデンカムイが面白い 明治娯楽物語における北海道の扱い 源八郎とヒロインの出合い 殺し合いの後で友達になろう 源八郎がロシア人になった理由 シャマケンは源八郎のため奔走し源八郎はロシアへ渡る 学習漫画的側面 苦学生という存在 源八郎とシャマケ…

明治四二年の雑で粗削りなフェミニズム

明治四二年に雑で粗削りなフェミニズム運動が発生していたので、10000文字程度の記事にまとめた。お時間のある時にでもどうぞ。 かって二つの事件があった 「おきみ」事件の顛末 「二十六女」を助けようとした人々 「おきみ」と「二十六女」 妙な形の文化が…