山下泰平の趣味の方法

これは趣味について考えるブログです

明治の人々

かって学校に住む子供教師がいた

学校に住む子供先生がいた 明治時代、小学校教師の数が足りない時期があった。これを解消するため、小学校を卒業した後に資金の問題で進学が出来ない村一番の秀才の子供を、そのまま教師にしてしまう流れができた。 周囲の大人が勉強を続けたいのであれば代…

師範学校に行きたくない秀才たち

とある知識人が戦前は貧しい家の子供も優秀であれば、大学にすすむことができたなんてことを書いるのを読んだことがある。なにを根拠にそんなことを語っているのかよく分からないのだが、(条件が揃えば無料にならなくもない陸軍幼年学校などの可能性もあるが…

明治大正時代の学生の戦闘力とその強さの理由

今回は明治大正時代の学生や書生の戦闘力と、その強さの理由について考察していく。 フィクションで活躍する学生たち かって学生や書生が一種のヒーローであった時代があった。そして明治から大正時代には、学生や書生を主人公とした冒険活劇がいくつも書か…

ゴールデンカムイの不死身の杉元と明治の不死身キャラの類似性とその進化について

ゴールデンカムイが完結した。せっかくなので全部読んだ。主人公がやたらに「俺は不死身の杉元だ!!」と叫ぶのを読むうちに、そういえば明治時代にも不死身キャラがいたなと思い出し、少し似ているところがあるなと、軽い気持で書き出したのがこの記事なのだ…

明治時代に金を払わず商品を仕入れ格安で売って富豪になったオッさんの謎

オッさんの謎 『裸一貫より成功せる成金の生立蒼竜窟主人 著 三盟舎 大正八(一九一九)年』で、明治時代に金を払わず商品を仕入れ、格安で売って富豪になったオッさんが紹介されている。ちょっと意味が分からないと思うので要約してみよう。 平岡浩太郎は国家…

自虐史観と私たちの実践科学

今年の2月くらいから『私たちの実践科学』なる本を紹介するために準備してたんだけど、難易度が高すぎるので止めることにして、かわりにとりとめのないことを書くことにした。今回はとりとめもないことを書くことに決めたので、情報の精査はあんまりしていな…

明治の若者たちはいかに無銭旅行を成功させたのか

この記事では明治時代の若者たちがいかにして無銭旅行を成功させたのか、その手法を中心に2万文字かけて解説している。 無銭旅行があった 無銭旅行とはなにか 若者たちは無茶をする 短期間だから無銭旅行ができた 人を殴ったり投げたりしたので無銭旅行がで…

デモ紳士の謎

昔の書籍や新聞雑誌を読んでいると、デモ〜といった表現が登場することがある。デモ紳士、デモ美女、デモ先生などなどである。 『ブラジルに在る同胞青年は意気地が無いとか或は『今頃の青年はノンプレスタ』とか云つて徒に在伯青年をアタマからクサスのは良…

子規の無謀、漱石の豹変、龍之介の演出、三者三様の夜間旅行

明治時代の忘れ去られた文化を調べている際に、正岡子規、夏目漱石、芥川龍之介が、それぞれ夜間旅行をしていたことに気が付いた。それぞれの旅行を比較するとなかなか面白く、記事としてまとめてみると16000文字くらいの長さになった。 夜間旅行があった 子…

ゴールデンカムイに触発されて明治四十三年に書かれたアイヌのヒロインと不死身の豪傑が旅する講談速記本を24000文字くらいかけて解説することにした

ゴールデンカムイが面白い 明治娯楽物語における北海道の扱い 源八郎とヒロインの出合い 殺し合いの後で友達になろう 源八郎がロシア人になった理由 シャマケンは源八郎のため奔走し源八郎はロシアへ渡る 学習漫画的側面 苦学生という存在 源八郎とシャマケ…

明治四二年の雑で粗削りなフェミニズム

明治四二年に雑で粗削りなフェミニズム運動が発生していたので、10000文字程度の記事にまとめた。お時間のある時にでもどうぞ。 かって二つの事件があった 「おきみ」事件の顛末 「二十六女」を助けようとした人々 「おきみ」と「二十六女」 妙な形の文化が…

大河ドラマのいだてんで思い出した真偽不明の話

いだてんっていうドラマが放送されているのを知って、かなり昔に聞いたか観たか読んだかした真偽不明の話を思い出した。 明治時代、あるオッさんが人力車の車夫を集め、メダル狙いでオリンピックに出場させようとするんだけど、アマチュアリズム(プロは参加…

新年明けましておめでたすぎるのでお正月向けめでたい明治の娯楽作品を紹介します

お正月はめでたい。だからお正月にはめでたい本を読むのが良い。縁起が良い感じがする。落語なんかでも正月向けのネタがあり、とにかくめでたいものがお正月には向いている。というわけで、お正月向けめでたい明治娯楽作品を2つ紹介していきたい。 『天人娘 …

明治の考え方『簡易生活』を読み解き実行する

明治時代に簡易生活という考え方が流行していた。この考え方は日本に深く根付き、良い反応も起こせば、悪い結果を残したりもしている。 今更明治の考え方なんてと思われるかもしれないが、知っておくことで様々な文化をより深く理解することができる。現代で…

月が奇麗ですねが面倒くさい人向け明治の "I love you"

漱石が "I love you" を月が奇麗ですねって訳したって話があるけど、回りくどくて面倒くさいよな。明治の日本人は我君を愛すとか言わないだろって感じなのだろうが、明治の奴らは基本的に焦ってるため、愛とか恋とか細かいことを気にしてる暇はない。それな…

夏目漱石作品最強ランキングトップ10(暫定版)

漱石作品強さランキングを作った ちょっと必要があり、夏目漱石の作品に出てくる登場人物の強さランキングを作った。というわけで『漱石作品強さランキング』である。 ルール 下記のようなルールを元にして、ランキングを作製している。 人型である 神ではな…

ペリーのミンストレル・ショーとアメリカンポリス24時!の黒塗りはほぼ無関係だと私は思います

「ブラックフェイス(黒塗りメイク)」は人種差別行為か――。昨年12月31日に放映された「ガキの使い!大晦日年越しSP 絶対に笑ってはいけないアメリカンポリス24時」(日本テレビ)の中で、ダウンタウンの浜田雅功が、アメリカの黒人コメディアン、エディ・マ…

明治の稲妻強盗が嫌すぎる

稲妻強盗がいた! 明治時代に稲妻強盗がいた。かなり有名な犯罪者で、現在でもフィクションの世界で活躍しているようだ。 ただし明治や大正時代の犯罪スターの中には、歌や芝居、はては映画の題材にまでなっている者もいる。彼らの中に入ると、稲妻強盗の人気…

近代的ハゲキャラは明治34年に確立された

近代的なハゲキャラの条件 日本において近代的なハゲキャラが登場したのは、明治も半ばを過ぎた頃である。聖書やら説話やらなんやらかんやらの古い書物にもハゲキャラは出てくるものの、ハゲが押入から出てきたり、髷が薄くなった侍が老いぼれは黙れと罵倒さ…

福沢諭吉の合理性が大正時代には群馬の校長へと届いていた

学問のすゝめについて 明治時代の先鋭的な人々は、迷信を嫌う傾向があった。そして合理性を追及していた。彼らは時には病的なくらいに迷信を痛罵し、信仰を小馬鹿にしたりする。 彼らが迷信を嫌うのには理由があって、誰もが筋道を立てて考えられる国にした…

簡易生活周辺の歴史について

私の趣味のひとつに、明治あたりのつまらない文化を調べるってのがあって、最近は簡易生活ってのに興味を持っている。簡易生活の基本的な概念は次の記事で解説してある。 cocolog-nifty.hatenablog.com 簡易生活は、生活改善運動っていう巨大な文化の中の一…

大正時代の健康法を5年くらい実行してたら普通になったので1万文字くらいかけて紹介する

私は明治やら大正時代が好きで調べてる。それだけじゃなくて、当時流行してたことを実際にやってみるのも好きだったりする。昔だから今より全てにおいて水準が低いので、実行してもあんまり意味ないんだけど面白いからやってる。 大正時代の健康法も実践して…

舞姫の主人公をボコボコにする最高の小説が明治41年に書かれていたので1万文字くらいかけて紹介する

舞姫の主人公をボコボコにする小説が明治41年に書かれていたので1万文字くらいかけて紹介したいと思います。 舞姫の主人公を殴れば解決するのでは? 冒険旅行ブーム 島村隼人、エリスに刺されそうになり豊太郎を殴ることを決心する 舞姫との差異 ハイカラを討…

日本の労働環境が悪かったとして

日本の労働環境はあんまり良くないって話がある。労働環境だけじゃなくて、若者が金に困ってるだとか色々な問題が存在している。 それを産み出している制度や環境がゴミみたいなものだったとして、それじゃなんで今の日本が一応は先進国っぽくなってるのかっ…

明治の盗まれる人、盗む人

一般的に明治とは、日本が近代化へと直走った時代とされている。しかしその実態を見てみれば、今と同じで色々な場所で色々な人がそれなりに生きている。今回は歴史に残ってはいないものの、なんとなく親しみをもってしまう明治の盗まれる人、盗む人を眺めて…

米騒動におからで立ち向かった男

かって一人の男がいた 大正7年、第一次大戦等の影響で物価が高騰し、庶民は生活難に陥っていた。7月22日には富山県で米騒動が起きると、それに呼応するように米の安売り要請運動が全国各地で繰り広げられることとなる。 時の政府は効果的な打開策を見出すこ…

明治30年代の自転車事情と自転車が好きすぎた男

日本で本格的に自転車が流行しはじめたのが1900年あたり、ただしまだまだ高価で明治30年だと国産自転車は50-100円、海外製のものになると80-200円くらいした。無理矢理現代に当てはめると、大型バイクを複数台所有するのにも似た贅沢な趣味だった。ちなみに…

子規の旅行とバンカラ旅行

歴史の中で、偉大な旅人として名を残した人々がいる。 思い浮かぶのは松尾芭蕉か西行か、人それぞれ違うことだろうが、明治時代であれば正岡子規が、旅に生きた偉人とだといえる。 俳人や歌人として活躍し、随筆や評論の世界でも手腕をふるい、近代文学に大…

明治のなんでもないような話

河村北溟の『断食絶食実験譚』は、断食した人々に取材をしたルポルタージュである。とはいえ所詮は明治時代のいい加減な雑本だ。知人や友人の体験談が内容の大部分を占める。河村北溟は漢学を収めた人だから、登場するのは漢学塾の人々ばかりになってしまう…

隼小僧二人

かって隼小僧として名を馳せた人々がいた。良いことをしたわけではなく、掏摸や泥棒、強盗などなどで捕まった人たちである。隼小僧と名付けられた犯罪者の数は多く、私が確認しているだけで8名ほどに及ぶ。そんな隼小僧たちの中で、改心をした者の記録がふた…