山下泰平の趣味の方法

これは趣味について考えるブログです

自転車を組みながら考えた

自転車を組んだ

以前に私は自転車の話をした。

cocolog-nifty.hatenablog.com

今もまた私は自転車を組んだ話をしたくなっている。しかし前回のように全てが喜びではない。年を重ねたこともあって、私と趣味との関係性が変ってしまったのである。人生後半戦だという雰囲気がひしひしと押し寄せてきている。

これは自転車の話であると同時に、むしろ趣味とのつきあい方といった内容になっているわけだが、自転車の話も出てくるので誰が読むのかといった内容になっている。それでもこういうことは誰にでも起きることだと思うので、記録として書き残していおくことにした。

自転車のフレームが劣化した

私の自転車のフレームが劣化してしまった。折りたたみ部分にちょっとしたガタがある程度なので、アルミテープなどで修正をしながら使っていたんだけど、段差を越えたりしたときに違和感がかなりあった。壊れるかもしれないというリスクを背負いつつ自転車に乗るのは微妙ではあるんだけど、わりと好きな物質ではあったので買い替えたくないといった気持が強かった。

2009年に生産されたモデルを中古で購入して6年使用、年間走行距離も3600-5000キロくらいなのでなんだかんだで20000-30000キロくらいは走ったことになる。折り畳みもほぼ毎日していたため、ガタについてはもう仕方がないかなといった感想である。もしかすると中古で購入した時点でガタは出ていた可能性があるんだけど、今となってはよく分からない。

それとは別に、知人の自転車のパーツを交換して遊ぶということをした。パーツも私が購入し無償で作業をするが実験用に好きに触っても良いといった雰囲気なんだけど、人が乗るものなので危険なことはできないし、完璧に仕上げないといけない。自分の自転車は軽ければ軽いほど良いという方針で部品を選んだんだけど、そんなことより安全なほうが重要で、なるべく品質の高い部品を選んだ。この経験は実に良くて、他人の自転車を触ることで技術がかなり向上し考え方も変った。自転車は妙に良い感じに仕上がって、実に快適な乗り物になった。

自分の自転車もパーツの交換時期がきていたので、部品のチェックをすると最低限の部品交換でもだいたい20000円くらいかかる計算であった。安全面を考えるとフレームやブレーキレバーなども交換したほうがいい。ヤフオクなんかを眺めているとフレームは新品で20000円くらい、その他にも気になる部分が出てきて諸々を交換し完璧にすると70000円くらいかかりそうであった。

愛着があるから買い替えたくないかなといった気持ちはあったものの、フレームを交換した自転車が同じものだといえるのだろうかといった謎な部分がある。部品は使っているのだから同じ自転車だといえなくもないが、フレームは異なるわけでやはり別の自転車になるのではといった結論であった。

別の自転車になるんだったら、同じフレームを使う意味は薄い。自転車全体で見ると好きな物質ではあるけれど、フレーム単体で見ると普通といった感じで、あえてこれを選ばなくてもいいかなとも思う。そもそも70000円出したら、そこそこの自転車は購入できてしまうので、それだったら新品の自転車に買い替えたほうが良いのではといった感じもあった……というようなことを2020年の7月くらいから考え始めた。

年齢を感じるようになった

わりと以前から部品単位で購入し、自転車を組み上げたいといった欲求があった。しかし身体はひとつなので、自転車は2台も必要ない。機会がきたらやるかといった感じであった。

今回も今の自転車のフレームと、劣化したパーツだけ交換して済ます方向で考えてた。自転車整備のスキルが上ったことで、今回は適切にフレームを扱うんだろうから、余裕で15年以上は乗り続けることができる。そうすると私もかなりの年齢になっていて、自転車を組み上げる気力が残っていないかもしれない。

もう1台、気が向いた時に組んだらいいんじゃないのって思うかもしれないが、私にとって自転車は実用品である。実用品に手を加えて、さらなる実用性を持った製品にするっていうのが私の趣味の形なので、実用的に動いているものがあればそれで十分だなとなってしまう。よく分からないが、純粋に自転車だけが好きだというわけではないんだと思う。だから正しく機能している自転車があったら組む気にはなれない。

もうひとつ、自転車業界全体の傾向も気になっていた。ディスクブレーキが主流になりつつあり、最高の変速パフォーマンスを出すのであれば電動変速なんだけど、こういった流れはもう止まることはないと思う。性能の高い自転車は個人の整備の技量による差は減っていく一方で、ブラックボックス化していくのだろうと予測している。

上位クラスの部品は発展していくが、私が乗るような普通の自転車のテクノロジーの進化は、止まってしまうような気もしている。自転車文化が成熟すれば、多様な要求に応えるような部品や、ワイヤーのテクノロジーで最高のものを提供するといったことも行なわれるかもしれないが、そういう方向には進まないように感じている。新興国の中には自転車ブームがきている場所もあるんだけど、彼らの自転車にはエネルギーはあるものの、文化的な成熟みたいなのとはちょっと違っていて、やっぱり難しいんじゃないのかなと思う。

さらに実用目的の自転車に関しては e-bike が主流になっていくような雰囲気もある。現在の技術水準があれば 10kg 以下の重量で正確に9速程度の変速ができる自転車を安価に提供できるはずで、そういうのに乗ったら e-bike はいらないかなって人もいるはずだ。自転車の変速は上手く使うと本当に良いものなんだけど、ほとんど使わないって人が多い。変速に失敗したりチェーンが落ちた経験から、自然に避けるようになったんじゃないかと推測してるんだけど、今なら難しい調整なしにそういうことが起きない自転車を作ろうと思えば作れる。

しかしそれをするためには、それこそ文化の熟成が必要だ。合理的にやるなら英式バブルではなく米式バブルを採用することになるので、空気入れのインフラも整えないといけない。ポジションを決めるための基本的な知識や、性能を維持するための定期整備の知識を普及させる活動なんかも必要だ。自転車文化はこういった活動が成功する方向には進んでいない気がしている。

さらにこのフレームにこの専用のパーツをつければ正確に動作するといった製品になるのだろうし、曖昧な部分をなくすため新しい規格なんかも必要になる。そんなこんなを考えると、ビジネスとしてはリスクが高い上に、e-bike 作ったほうが利益が出るので誰もそんなことをしないと思われる。

このように自転車が今後どうなるかよく分からない上に、政治というか社会の状況も先がよく見えない。今だと海外から部品やフレームを輸入できるけど、数年後にどういう状況になっているかは不明だ。日本には発送しませんってなっているかもしれない。今回もコロナ禍の影響で自転車の部品の供給不足が発生していたのだが、そんなことを想像すらしたことがなかった。

以上のような諸々を考えるに自転車にまつわる環境は、十年後に今より面倒くさいことになっている可能性が高いと思う。この先どうなるか、確実なことは分からない。ただ加齢によってさらに情熱の下がった私が、数々の難関を乗り越えてまで自転車を組む気になるのかなと考えるとちょっと難しいところがある。そんなこんなで、この機会に一回組でおいたほうがいいんじゃないか、これが最後のタイミングなんじゃないのかって気持になってきた。別に自転車を組む必要性はないのだが、私は単純にそれをしてみたいのである。

結局のところ個人的で小さな趣味であったとしても、社会と切り離すことはできない。こういう部品が欲しいと思ったところで、十分な需要がなければ生産されることはないし、存在しないものを購入することはできない。そもそもだが私が自転車を積極的に触るようになったのも、ネットで十分な量の自転車の情報が収集可能となり、通販で部品を購入できるようになったからだ。こういった社会の変化がなければ、今でも自転車には興味を持っていなかった可能性が高い。

どのような自転車にするかを決めた

前回は経験値がなく、場当たり的にパーツを交換していたため、かなり変な自転車になってしまった。今回はまずおおまかな方針を決めてしまい、自転車を選んでいくことにした。私が望む自転車は次のようなものである。

絶対

  • 重量9kg以下(ペダルレス)
  • 荷物20kgくらいは運べる
  • 全ての部品が的確に動く
  • これまでのノウハウを活用できる
  • 盗まれにくい

できたら

  • 折りたたみ可能のミニベロ

基本的に私は通勤や買い物用に自転車を使っている。あくまで実用品なので、窃盗されやすいものは困る。他人から見ると魅力がないけど、自分はわりと好きみたいな自転車にしていきたい。とにかく移動を楽にしたいので、そういう自転車にする。私は自転車に乗ってる時に考え事するのが好きなんだけど、少しでも音すると集中できないので静かにする必要がある。ブッ壊れるまでは乗るんだろうから、そこそこの範囲内で妥協のない自転車する。あと前回は軽量化を目的に自転車を触っていたけど、今回は軽さより品質を重視することにした。

娯楽の要素としては、できたら折りたたみ可能のミニベロにしたいというものがあった。ここ数年明治時代の無銭旅行について調べていて、最近ちょっと道に興味が出てきたので、もしかすると街道を走ったりしたくなるかもしれない。流石に自転車で日本一周をするような年齢ではないので、輪行か車に乗せてってことになるんだろうから、折りたたみもできたほうがいいが、こちらは絶対ではないかなといったところであった。

実はミニベロにメリットはほとんどない。理屈からいうとタイヤサイズ 700c の自転車が最も便利だと思う。タイヤもホイルも安くて品質の良いものが手に入る。ただ本格的に触ったのがミニベロしかない。また1からノウハウを蓄積してっていうところまで気力は湧かなかった。

最後に値段の問題である。私が思うような自転車を組むとだいたい15万円ほどかかる計算になった。自転車の値段の幅は広い。実用品の自転車に15万円は高い気がするけど、自転車全体で見るとそれほど高額なものではない。いくらまで出せるのかっていうのは人の感覚によるんだろうけど、私の場合は使用する時間を目安にしている。1日に40分乗るとすると、1年間で10日くらいは自転車の上ですごすことになる。つまり乗っているだけで快適な自転車は、10日間分の快適な時間を提供してくれる製品だということになる。10日旅行すれば15万円くらいは余裕でかかるので、まあいいかなっていうところである。

さらに自分を納得させるために10年単位で考えると100日で、人生のうち100日間を快適にするための金額だとすれば、15万円は安いような気がしないでもない。先にも書いたように私は自転車で考え事をするので、思索のための道具だと捉えると15万円は完全に安いと自分を納得させられないわけでもないが、それでもやっぱり高いよなっていう感想だ。そんなわけで、安く上げる方法もいくつか検討したのであった。

組まれている自転車を買うのは止めた

少しだけ普通に新品の自転車を購入することも考えたんだけど、市販されている自転車で条件を満たすものを選ぶとなると、最低20万円くらいになる。ミニベロは基本的に趣味性の高い製品で、性能に見合わない値段のものも多くある。重量を妥協すれば DAHON visc EVO (とても良い自転車)が 140000円くらいなんだけど、ブレーキとクランクとペダルは交換しなくてはらないので追加で35000円程度、場合によってはタイヤとワイヤーも交換したくなるので10000円、これだと9kgくらいにはなるのかな……などと考えていると、ちょっと気持が重苦しくなってくる。

もうひとつ、私は自転車に関してはお店の人とコミュニケーションをあまり取りたくない、だから通販で購入したいのだが、高額商品は対面販売のみってものが多い。ブランドロゴなんかが入ってると盗難の可能性も高くなるのでそれも避けたい。そんなこんなでやっぱり自分で組むしかないかなっていう結論であった。

安くあげるために、中古のフレームを手に入れてっていうのもちょっと検討したが、こちらは状態が分からないので止めた。

ジェネリックブロンプトンも止めといた

ブロンプトンっていう自転車があって面白そうなんだけど、とにかく高い。人気があるため盗難リスクがある。あと対面販売のみである。自転車屋さんに行くのは面倒くさいので、中国から偽物のフレームを輸入してジェネリックブロンプトンを作るかなとかも考えた。偽物なら盗難リスクも減るんだろうし良いかもと検討したけど、次のような理由で止めた。

  • パーツ集めるのが面倒くさそう
  • これまでとは別のノウハウが必要
  • 標準のブロンプトンがどの程度のものしか知らないからジェネリックブロンプトンがどのくらいの水準なのか判断できない

ブロンプトンは面白い構造をしていて興味深い。しかし今までとは違うノウハウが必要になってくる。またもや一から勉強するのはちょっと面倒だなと思ってしまった。部品を集めるだけで疲れ果ててしまいそうな予感もあった。

ブロンプトンは完成度が高いだけに普通にお店で購入して、品質が著しく悪い部品だけ交換、基本的にはノーマルで乗るのが一番みたいな製品だと思う。そんなわけで、今回の私の目的とはちょっと違うかなという結論であった。

クロモリフレームを輸入することにした

私は自転車のフレームって普通にアマゾンとかで買えると思っていたのだが、そういうわけではないらしい。SURLY の PACK RAT てのは通販でも買えそうだし良いかなと思ったんだけど、タイヤのサイズが微妙なのと盗まれやすいので止めてしまった。あと予算的にも厳しい。

そんなこんなで ALIEXPRESS でフレームを輸入するっていう結論になった。フレームの素材は理屈でいうと今やカーボン一択だと思う。最も開発費が注ぎ込まれている素材なのだから、その品質も自然に良くなる。10年くらいは乗れるんだろうから、カーボンで良い気もしたんだけど、ALIEXPRESS で販売されている商品から質の良いカーボンフレームを選ぶ自信がなかった。クロモリなら大丈夫ってわけでもないんだけど、どちらかといえば安心感はあるかなといったところで、色々あってこのフレームにした。

s.click.aliexpress.com

品質とか安全性とか言ってたのにアリエクの謎フレームかよって感じがあって苦悩をしたけど、インドネシア(だと思う)ではかなり売れているフレームみたいなので、まあ大丈夫だろうといった結論であった。折り畳みの構造も単純で、恐らくガタなどもでないだろうといった計算である。

ホイールを組むのは止めた。ALIEXPRESS で 18000円くらいのホールを2セット購入していて、そこそこ良いホイールだと知っていたのでそれを買うことにした。良い振れ取り台を用意する必要があるとか、部品を集めるのが大変そうとか、完組ホイールのが性能良さそうとか、色々な要因があったんだけど、気力がないっていうのが一番の理由だと思う。安物の振れ取り台を購入し振れ取りはした。

変速関連のパーツはシマノの製品で下から三番目の TIAGRA を選んだ。

これは積極的に選択するようなものではなくて、ちょとと高めの完成品の自転車を購入したらついてたみたいな扱いのパーツである。それじゃなんでそんなのにしたのかっていうと次のような理由だ。

  • 現時点で完成品に多く採用されているため今後しばらくは部品の提供がされるはず
  • パーツ販売目的で盗まれることはなさそう
  • 互換性を守れば完璧に動作する

TIAGRA 4700 は立ち位置的にちょっと変な製品で、将来的に消耗品のスプロケやチェーンが安くなるんじゃないかなっていう計算もあった。あと値段のわりにチェーンの品質が高いという点も大きかった。

人気がなさそうで盗まれにくいんじゃないかって考え microSHIFT の ADVENT ってパーツも検討したんだけど、こちらは入手するのが面倒くさいのと、どの程度の性能なのか不明なので止めた。キャリパーブレーキは 105 レバーは ULTEGRA ハンドルは視覚的に乗りにくそうなセミドロップハンドルにした。組み上げて重量を計測すると8キロ台になった。

基本的に知人の自転車と同じパーツの構成で、触ったことがある安心感からの選択だった。その他の細かいパーツも大手メーカーのもので品質が確保されているものを選んだ。ただし無駄に高額なものは避けた。自転車はオーディオと似てるところがあって、感覚的な部分が大きい。効果のある部品もあるけど、ほとんどオカルトに近いようなものもある。場合によっては金出して苦労してわざわざ性能を落しているようなケースもある。それはそれで面白いんだけど、今回の私の嗜好と目的とは違うので、妥当な選択ができたと思っている。

品質や文化ついて考えた

ALIEXPRESS から届いたフレームはかなり微妙だった。

金を払ったら中国から鉄クズが届き、日本の処理業者に金を払い鉄クズを処分してもらわなくてはならないみたいな状況に陥る可能性があるなとは思ってたんだけど、わりとそれに近い感じであった。一部の部品が同封されていないのと、掲載されている写真とは細かな部分が異なるものが届いたのは当然として、フロントフォークがかなり歪んでいて、BB取付け部分のネジがグチャグチャでBBの取り付けができなかった。販売業者と多少は交渉したけど、当然のように問題ないみたいな対応だった。

BB のネジ山を修正する工具を買うのが嫌すぎたので、最大手の自転車屋さんでタッピングしてもらおうかなと思ったのは失敗だった。ネットでBBタッピングに対応しているのか確認した上で、電話で問い合わせをしてお客さんが少なそうな時間を選んで店に行ったら店員さんが良い感じに対応してくれて、良かった良かったってなりそうになったんだけど、いきなり店長みたいな人が対応してくれた店員さんを怒鳴るといった事態が発生して最悪の体験であった。多少は話をしたんだけどマジで意味不明なので、帰宅してアマゾンで意味の分からん工具を注文しタッピングした。使った後で工具はヤフオクで売り払った。最初からこうしておけば不快な思いをしなくて済んだと思う。フロントフォークは曲げて修正した。

私が自転車屋さんに行くのを好まないのは、どういう対応をされるのかが不確定だからである。わざわざ外出して金払ってまで不快な思いする可能性があるっていうのは最悪すぎる。ただああいう感じになっちゃう理由も分からないでもない。自転車に対する考え方は人によって幅が広い上に、仕事にケチをつけようと思えばいくらでもつけられるってところもあるから、対応にムラが出るのは当たり前な気もする。そもそもだけど自転車の部品はマニュアル通りに取付けたら完全に機能するわけではない。今回組んだ自転車は知人のものと共通するパーツが多いんだけど、フレームが違うため挙動が変化する。同じように取付けしたら問題なく動くっていうものではないのである。扱う製品がこういうものだから、仕事の品質が安定しないのも仕方ないのかもしれない……などといったことを考えるのはなかなか面白い。

中華製品も面白くて、性能は上がるけど品質は同じっていう傾向がものすごい強い。文化的なものなのかなんなのか、理由は謎だけど今回購入した自転車のフレームも、ペダルを回転させるとものすごく進む(私はロードバイクに乗ったことはないけど、おそらくロードみたいな性質になるように意識してるんだと思われる)んだけど品質は低い。

それに関連して、鉄屑と自転車の境目みたいなことも考えた。届いたフレームはそのまま組めない状態で、加工が必要だった。加工した結果、自転車になったけど加工しなければ鉄屑である。以前に乗っていた自転車も、ものすごく便利な物質で気に入っていたけどフレームが劣化すると鉄屑、しかしフレームごと入れ替えると自転車になる。どこまでが自転車で、どこからが鉄屑なのかとか考えると、わりと曖昧な感じがする。

こういうことを考えるのが好きな人は、この本が面白いと思う。

色々なことがあったけど、とにかく自転車は完成して今のところは便利に使っている。しかし乗り物は住んでいる場所や必要な移動の距離によって、便利なものが変わるからなかなか難しい。今は便利すぎる自転車も場所が変わると不便で邪魔な物質になり得るので、環境が変わったらまた乗り物について考える必要がでてくると思う。

消極的な選択を多くした

今回はわりと消極的な選択をすることが多かった。一回触ったことがあるとか、どちらかというとこっちのがマシとかを基準に判断することがほとんどでだった。加齢による気力の減少が主な理由なんだろうけど、こういうのも悪くはないなと感じている。

自転車を組むというのは新しい経験だけど、それ以外はだいたいしたことがある。だから不快だったり、嫌だなと感じる出来事が発生する可能性は低い。やったことがないことをするのは事実なので、未知の経験も積むこともできる。衰えた気力を経験値で補っている形である。

これは自転車に限ったことでもなくて、他の趣味でも同じような傾向があった。昨年から追加された趣味として、場所(地名)を認識するというものと、学習をするというものがある。私は地理に全く興味がなく、それ単体では面白くもなんともない。しかし明治時代の文献に登場する地名を調べると、なかなか面白い。学習するのも同じで、英語や数学を単体で勉強しようとしたのだが、これが全然面白くない。しかしコンピュータを買い替えると、英文を読まないといけないケースに出合うことが多いので、ちょっとだけ頑張って英単語を覚えたら即日で役立つので面白い。数式を目にすることがあった際に、意味を調べるとこちらも即日で役立つので面白いといった感じである。

こういう方法だと別にたいしたことができるわけでもないし、圧倒的な成長なんかも見込めないんだけど、自分を愉快にさせることはできる。それに加えて自分がやってることに深みのようなものが多少はでてくる。自分が今後どうなるかは不明だが、趣味とこういう感じで付き合っていくのかなといった予感がある。

また情熱が下ったことで、気が長くなったことはとても良かった。コロナウイルスの影響で自転車の部品が不足し、なかなか手に入らないため気長に部品を集めるしかなかったんだけど、すぐ手に入る部品を妥協して選ぶといったこともなかった。さらっと書いたけどフレームに関しても、実はものすごくイライラした時期があって、若い頃だったらハンマーかなんかで破壊してゴミに出していた気がする。自転車屋でも口論になってたかもしれない。

なにが起きようと目の前にある現実は現実なのだから、受け入れて気長に解決方法を考えるしかない。こういうのが苦痛でなくなったのは良いことだと思う。ちなみにオランダに商品を注文して1ヶ月になるがまだ届いていないのだが、これもそういうものだとして受け入れている。