山下泰平の趣味の方法

これは趣味について考えるブログです

無駄なことが無駄じゃなくなることもある

仕事から帰ってきて、ずっとスマホで漫画を読み続けている人はわりと多いと思う。自分だけで遊んでいるんならいいけど、寝転んでスマホで漫画を読んでいる姿は怠けているように見えるので、お母さんに怒られたり子供から嫌われたりしているかもしれない。そうなると、これってあんまり良いことじゃないよねって感じてしまう。しかし今は面白いだけで無駄な行為も、そのうち無駄じゃなくなる時が来ることもある。

現状だと月にいくらか払って読み放題になるサイトで、だいたい3万くらいの漫画が読める。読みまくっている人は読む速度も上っているんだろうから、1冊読むのに10分かかるとして、だいたい1日に20冊くらいは読めることになる。そうすると5年あれば全部読める。今は漫画読み放題のサービスはまだまだだけど、5年もたつともっと素晴しいものになっているはずだ。その時に無駄に読んでいた時間が活きてくる。

5年も読んでいれば、慣れのようなものが発生し、謎のスキルを身に付けている。読む速度を上げ、感想を記録しておくための、簡易なシステムを作ってみたりもしているはずだ。今は年代を指定して漫画を読めるサイトは少ない。将来的には実装されるはずだけど、手元でなんらかの作業をすれば実現できないこともない。一人で未来の機能を使っていることになり、素晴しい経験だと思う。これをスマホで実現させるのならば termx が一番楽なんだろうから Android のスマホに機種変をしないといけないけど、そういう細かい話はどうでもよくて、とにかく一人だけ先にその機能が使っているっていうのが重要だ。漫画ばかり読んでいるため他の情報が遮断されているのも良くて、恐らく独自の考え方を生み出している。人に話をしたい欲望も湧いてきて、なんらかの発言もしているはずだ。

こういう人間が無限に漫画を読めるサイトを手にすると、普通の人の10倍くらい活用できるようになっている。10倍活用できる人間が、漫画の評論を書くと、これまでとは違う形になっている。

これは漫画に限った話でもなくて、ドラマでも音楽でも映画でも起きる可能性のある出来事だ。私も似たようなことにはなったんだけど、かなり偶然の要素が強かった。だから無計画にやっていて、結果的にまだまだ全然駄目な状態である。もっと効率的にやれたはずで、なので今無駄なことばかりしていて、消えてしまいたいって思っている人がいるのであれば、まず将来こうなるっていうのを予測しつつ、もっと無駄を追求していったほうが良いと思う。予測や予想っていうのは外れるものなんだけど、外れれば外れたなりにそういう行為っていうのは役に立つわけで、同じジャンルの世界で無限に無駄を費せるものが登場した時に、人より少しだけ良いことができるようになっている。

無限に無駄を費せるものが登場することなく終ってしまうと残念だけど、その時は身に付けたスキルで別のことをするしかない。趣味なんてものはそんなもので、いくらスキルを上げたところで、ほとんどの場合は役に立たない。ただ今は無駄に終らない可能性がほんの少しだけ高くなった時代ではあるなと思う。