身も蓋もない中華プロダクト
中華製品と呼ばれるものがある。私もたまに購入する。使ってみて面白いなーって思うのが、とにかく身も蓋もないっていう点である。
中華製品の自転車用ライトの場合だと、
- 明るいLED
- デカいバッテリー
- 堅い外側
といった特徴があって、それを満していればとりあえずライトとして快適に使用である。高級品なら Apple っぽいパッケージに入れたら良いだろとか、その程度の思考力で作られている。
HODGSON USB充電式自転車ライトLED自転車ライトライトセンサー付き安全なサイクリング
- 出版社/メーカー: HODGSON
- メディア: その他
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この商品、使ってみたら普通に使える。暗い場所では点灯し、明い場所では消灯する。きちんとしたメーカーが1万円くらいで出してたライトが、2000円程度で買えるようになる。センサーなんかも付いていて、局地的には高額製品より性能も良かったりする。安物だから安全性とか耐久性は運なんだけど、一時的には必要とされる機能の中心だけは満してくれる。ライトなんだから長いこと光りゃ文句ねェだろみたいな身も蓋もない態度が最高すぎる。
バイク用のライディングウェアなんかでも、メーカーの製品を作ってる工場で出た不良品を売ったりする。どうせ捨てるんだから売るのも同じだろボケがゴチャゴチャ云うな黙ってろみたいな雰囲気があって、これもとても良い。
最近購入したので素晴しかったのがGPD Pocket で、これはタブレットにデカいバッテリーとキーボードくっつけてノートパソコンにしたら売れるだろっていう思想で作られている。
電源まわりの出来が悪くてスリープ関係が微妙だったり、冷静になったら重いとかもあるんだけど、デカいバッテリーとキーボードが付いてる安物中華タブレットが欲しいって人にとっては良い製品ってことになってしまう。
中華製品にはとにかく意味の分からない魅力がある。中華メーカーがGoPro をマネたアクションカメラを発売する。たまたま出来が良かったため、大量の中華メーカーがその製品をそのままパクったものを発売する。少しだけ良い部品を使っていたり、品質管理がしっかりしているメーカーの製品は、オリジナルの商品よりも少しだけ出来が良い。そんなわけでパクったメーカーの一部が、パクリ製品の中でブランドになってしまうといった狂った状況が発生する。
とにかく身も蓋もない。デザインとか知らねぇけど他のメーカーの金型そのまま使ってんだからいいだろ。あと箱もAppleそっくりにしといてやったぞ満足したか?みたいな思想には最高さがあり、吹き曝しの荒野の中に機能だけが存在しているような雰囲気がある。
身も蓋もないプロダクトの魅力
最近の身も蓋もないプロダクトで注目しているのは、バーミキュラとバルミューダの炊飯器で、大手の会社ではできない方法で美味しくしている。
バルミューダ 3合炊き電気炊飯器 BALMUDA The Gohan K03A-BK(ブラック)
- 出版社/メーカー: BALMUDA
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バーミキュラ ライスポット RP23A?SV [並行輸入品]
- 出版社/メーカー: 愛知ドビー株式会社
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両社ともに、米を洗う際に網で洗うことを推奨している。別に網で洗う必要もないんだけど、これだと洗ってすぐに水を捨てることになる。米は最初の水はすぐに捨てたほうがいいから、自然に少しだけ美味くなる。面倒クセーけど普通の炊飯器ではなく、こういう商品を買う人は守ってくれる気がしないでもない。
バーミキュラの鍋が4キロくらいあって異常に重いってのも良くて、これで米は絶対に美味くなる。バルミューダの蒸気ってのはよく分からないけど、それなりに美味しく炊けるんだろう。
両メーカーとも保温の機能は省いている。基本的に保温をすると飯は不味くなる。炊いた後にマズくなったのはユーザーが悪いのであって、炊飯器の責任ではない。ただユーザーは自分の無知が原因でまずいものを食べたとしても、炊飯器のせいにしちゃうんだろうから、まずくなる要素を捨て去るっていうのはスゲー身も蓋もなくて良さがある。ここまでやるんなら、米はササニシキ系統のものがお勧めくらいのことまで指定しても良かったんじゃないのかなって思ったり思わなかったりするものの、とにかく面白い製品だなって思う。
大手メーカーが一台の開発に費やす米の量は約3トンだッなんて威張ったりしているけど、重たい鍋を使ったバーミキュラのほうが美味く炊けるっていうのはなんとも良い。しかしさらに身も蓋もなさを追及すると、アルミの鍋のが美味いって結論が出そうな気がしないでもない。
私は10年くらい米を鍋で炊いてたんだけど、なんだかんだで米を正しく洗い、厚手のアルミ鍋を使って、鍋に適した量を炊くのが一番美味いっていう感じだった。味は基本的に美味い。季節によっては高級炊飯器より、鍋で炊いたほうがずっと美味いかもしれない。値段も4000円しない。圧力はかからないから、もっちり飯にはならない。バーミキュラとバルミューダなんかに近い味なんじゃないかな?
高級炊飯器との差額で良い米を買ったら、アルミ鍋のほうが美味い米を食べることができると思われる。鍋の素材で、あんまり味に差は出ないな。土鍋で喜ぶってのは、あんまり理解できない。アルミが一番洗いやすくて便利だと思われるわけだけど、まあこの辺りは好みの問題だな。洗うこと考えるなら厚手のアルミ鍋最高だと思われる。
- 出版社/メーカー: トオヤマ
- メディア: ホーム&キッチン
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ただし、このやり方は身も蓋もなさが行き過ぎちゃって、テクニックが必要だったり、面倒なことが起きたりする。逆に条件が揃えば炊飯器より面倒じゃないけど、条件を揃えるのがスゲー面倒っていうのがあって私も今じゃ炊飯器使ってる。身も蓋もなさを、どの辺りで止めておくかっていうのも、ポイントのひとつなのかもしれない。
昔から理屈や様式のある時代と、身も蓋もない時代ってのは繰り返していて、今は身も蓋もないものが強い時代なんだと思う。ちょっと意識して見ると、身も蓋もないプロダクトが大人気ってのがわりとあって、観察してみると面白い。
この話はもう少し続く。