身も蓋もなさの続き。
今は身も蓋もなくて実用だけあるっていうスタイルが、独走態勢に入っている雰囲気がある。身も蓋もない製品を使い続けていると、人間の精神性なんかにも影響がどんどん広がり続け、身も蓋もない人間が増えていく。
少し前に、商社とかただの転売ヤーだろみたいな発言をインターネットで読んだんだけど、身も蓋もなさすぎて激渋かった。伊藤忠商事も転売ヤーかーってなりしみじみとした気持になるけど、冷静になって考えてみたら確かに伊藤忠商事も転売ヤーである。事実は事実なのだから否定はできない。
とにかく身も蓋もなさはすごい。文化とかあんまりどうでもよくなってくると思われる。例えばなんだけど、ここに真夏に外回りしてメチャ疲れて喉が乾いてるデブったオッさんがいたとする。我々は、このオッさんに癒しを与えたいと思う。癒しといえば茶道なわけで、昔の歴代の茶の湯の強い奴らを復活させてオッさんをもてなすこととする。茶道は明治維新で一回衰退しているんで、明治以前の技術で持て成す。
茶の湯の強い奴らになにが出来るのかっていうと、和漢のさかいをまぎらかした器に、オッさんの生まれ故郷から取り寄せた水を入れるとかそういう感じだと思う。明治以前でも氷はあったんで、ショボいながらも氷も入れる。本当は複数人部屋に入れる必要あるけど、茶は自由だから今回は単体でメチャ喉のかわいたデブったオッさんを狭苦しい部屋に押し込めて、美しい所作で氷水を提供するとかそういう感じであろう。
外回りしていたオッさんは営業だから、気を使って喜ぶかもしれない。しかしガンガンにクーラーをきかせた部屋の真ん中に机と椅子、キンキンに冷えたビールやら水やらコーラやらポカリスエットを置いておいて自由に飲ませたほうがオッさんは絶対に喜ぶ。メチャ喉が乾いてる人間にとっては、故郷の水とかクソどうでもよくて、冷えたビールとかポカリスエットのほうが嬉しい。いくら茶道に歴史と蓄積があったとしても、超高性能のエアコンと冷えたビールやらポカリスエットに勝つことはできない。
いやいや茶道には深い伝統に裏付けされた含蓄があるんだッ!!! みたいな話になるかもしれないけど、窓の大きさ工夫するとか日陰利用するとか氷押し込んだ落とし穴にオッさん落すとかその程度が限界だろうと思われる。真夏に外回りしてメチャ疲れて喉が乾いてるデブったオッさんからしたらそんなもんいらんっていう感じである。茶の湯よかポカリスエットのほうが嬉しいってのが絶対の事実なわけだけど、これが身も蓋もなくて実用だけあるっていう状況である。
身も蓋もなさはとにかく強い。私は明治から大正にかけての大衆娯楽小説を読んだりして遊んでるんだけど、これも身も蓋もなくしてしまうと、今のテレビやら映画のほうが100倍面白いっていう結論になってしまう。私としては娯楽にも歴史があって……とかグズグズ理屈をコネたくなるけど、明治のクソみたいな娯楽小説より最近直木賞を取った小説のほうが面白い。さらに身も蓋もなさを追求すると、小説よりも任天堂の面白いゲームのが長時間集中できるっていうのも事実だし、任天堂のゲームより圧倒的な金と権力で愚民どもを支配するほうが楽しいみたいな奴も出てくると思われる。
身も蓋もなく実用しかないのは実にすごい。
身も蓋もなさはとにかくヤバい
こういうのを追及していくと大抵の文化はクソどうでもよくなってくる。ヘラブナ釣りも池の水抜いたら終りだろみたいになるし、将棋やら囲碁も人間よかコンピータのほうが強いしもうやる意味ねぇよなとかそういう感じになる。
装飾とかクソどうでもいいから機能の真ん中だけ満たしときゃいいだろって態度を追及していくと、色々ヤバい領域に到達してしまう。
例えばイベントを開くとする。イベントが持つ機能の中心っていうのを考えると、下の3点になる。
- 人が集まってる
- なんか見たり聴いたりしてる
- 騒いでる
ok! 了解!! 分かったッ!!! 人が集まってなんか見て騒いでりゃいいんだな、人が集まってなんか見て騒いでるのがイベントだろそれで文句ねェなボケといった態度でイベントを作るとしたらどうなるのか?
まずデカい部屋を用意する。次に部屋の真ん中にその辺に落ちてる石でも材木でもなんでもいいから置いておく。そして2000万人ほどの人間を部屋に押し込めて、石でも見てろってずっと放送し続けてたらイベントが完成してしまう。そんなことしても楽しい人いないとか、金が儲からなくて損するだけみたいな意見はあると思うけど、イベントとしての機能は満たしてるんだからイベントだし2000万人も集まってるんだからすごい巨大イベントってことになる。2000万人が部屋に詰め込まれてるんだから、死人とか出てると思うけどとにかくデカいイベントだから成功したイベントだと思う。そんなの屁理屈じゃないかって思うけどイベントはイベントなんだから仕方ない。広い部屋の真ん中に丸太だけ置いてあるみたいな身も蓋もなさはとにかく渋い。
あまりに身も蓋もない態度っていうのは、私は嫌だし他にも嫌な人もいるとは思う。だけどものすごい効率的でもあるから、一部分はこういう風に生きていくのも良いような気がしないでもない。
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