真田信繁はいるけど真田幸村なんていない、坂本龍馬なんて司馬遼太郎以前はたいして評価されていなかった……みたいな話がある。
真田信繁はいるけど真田幸村なんていないってのは、史実としては正しい。ただしフィクションの歴史では真田幸村は存在していて、どういう風に成長していったのかを考えるのは、それなりに意味がある。
坂本龍馬なんて司馬遼太郎以前はたいして人気はなかったし、評価されていなかった、今は過大評価されてるってのは誤り、歴史に興味がある人なら馬鹿馬鹿しくて相手をする気になれないと思う。
坂本竜馬 凝香園 著 博多成象堂 大正一(一九一二)年
これだけ読んでも、大正時代のがすごい過大評価されているって分かると思う。
本当の歴史ってのは面白いんだけど、フィクションが成長していく歴史も調べるとそれはそれで面白い。
大正あたりの下等な娯楽小説では、坂本竜馬が平手造酒をボッコボコにしている。
こういう小説を読む人らがそういうものを喜んだから、そういう風に書いてある。明治もよく似たレベルなんだけど、大正時代になると実際の資料が多少は出てきたりして少しだけレベルが上ってる。ただまあ、あんまり細かい話は出てこない。竜馬がダッシュで西郷さんの家に行って話をしたり、近藤勇を川の中に投げたりしたりの物語になっている。そこから司馬さんの竜馬に至るまでにもいろいろあるんだろうけど、私はそのあたりのことは調べてないので知りません。
他の国は知らないが、日本は娯楽フィクションに対して異常に厳しい傾向がある。ややこしいのは風当たりが強いがゆえに、娯楽フィクションが実話のふりをしちゃったりすることで、今もインターネットでいわゆるツリと言われる行為に人気があるのは、そういうところに多少の理由がある。
娯楽フィクションは娯楽フィクションとして認識して楽しみ、本当の歴史は本当の歴史として楽しめると一番良い。だけど感覚が変るまでにはまだまだ時間がかかりそうですね。
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