山下泰平の趣味の方法

これは趣味について考えるブログです

読まない人が読書で遊ぶための60ステップ

私はわりと読書をしてきたほうだと思う。ただ間違った方法で読書してきたよなーって思わないでもない。それでも楽しく読めてはいて、未だに読書で遊べている。

そんなわけで、読書を楽しむための方法を紹介したい。60ステップあるんで面倒くさいかもしれないけど、やったら速読以外は誰でもできると思う。

対象としているのは全く読書しない人や、目的のある学習しかしてこなかった人で、もしかするとだけど大量に読んでる人にとっても多少なりともマシなことが書かれているかもしれない。あるいはネットで読むものの幅を広げるための練習にもなる可能性もないでもない。考えてみると読まない人はこんな記事を読まないような気もするが、そのあたりはムシっておくことにする。

私自身は電子書籍は読みまくってるんだけど、こちらは紙の本を対象としている。また書見台や椅子などの道具や、書籍の軽量化などについても扱っていない。書見台は便利なんだけどね。

最後に注意して欲しい点を書いておくと、これはかなりいい加減な読み方だっていう点で、論文だったり法律の判例だったりは、違う読み方をしたほうがいい。またすでに好きな読み方がある人は、別に真似することもない。読書っていうのは自由なもので、自分の読み方で好きに読むのが一番だと思う。

最初に紹介しておくと読書や本に関する書籍でおすすめなのはこのあたりだけど、知ってる人はハイハイって感じだと思う。他にも何冊かあったけどいい加減な読み方をしてるんで著者や題名を忘れてしまいましたアナール学派の人の本だったような気がしないでもないのだが……というようないい加減な人間による読書で遊ぶための方法である。

本を読む本 (講談社学術文庫)

本を読む本 (講談社学術文庫)

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  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1997/10/09
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テクストのぶどう畑で (叢書・ウニベルシタス)

テクストのぶどう畑で (叢書・ウニベルシタス)

本に慣れる

01.1日休みの日の朝に図書館の子供コーナーに行く

02.なんでもいいから読んでみる

03.ちょっとでも難しかったら対象年齢を下げていく

04.超高速で読める対象年齢を探し出す

05.大人が一人で子供コーナーにいる時点で変なんだから、格好を付けずに簡単な本を選ぶ

06.小学2年生向けの本が読みやすかったら、小学2年向けに書かれたものを選ぶ

07.絶対に格好を付けない

08.内容とかどうでもいいから超高速で読みまくる

09.次の休みの日に、図書館の子供コーナーへ行って同じことを繰り返す

10.飽きるまでやる

11.基本的には1回でいいかもしれない

なんのためにこんなことをするのかっていうと、遊ぶための読書のスキルを持っている人が子供の頃にしたことを再現するためである。大人の本でこれをしようとすると難しいけど、子供向けの本なら1日に10冊とか余裕で読める。これで乱読したり、読み捨てたりといった体験を得ることができる。

ちなみに私は、高校生とか大学生のころに、子供向けの本って最近どうなってんだろって思い、何度かやったことがある。馬鹿みたいに読めて楽しかった。しかしオッさんになってからは、やったことない。だからオッさんは不審者扱いされる可能性がある。心配ならこの記事をプリントアウトして図書館に持参し、注意されたら見せたらいいと思う。さらに気持悪がられ、スリリングな休日を過すことができると思う。

下の速読にもつながるんだけど、これをやってるうちに、文字を音声化しなくても読めるようになれるかもしれない。

速読をする

12.超簡単に読める本を探す

13.時間を計って簡単な本を2ページくらい読む

14.もう一度同じページを時間を計って読む

15.絶対に読む速度が上っている

16.これを3回くらい繰り返す

17.そのページだけは速読できるようになっている

18.別のページでもやってみる

19.上記の方法に飽きたら、1ページあたり0.5秒くらいでめくっていく

20.2回くらい繰り返す

21.未読のページを読む速度も上っている

22.最終的に1冊を何分で読めるか計測する

23.こういうことを繰り返すうちに、速く読む感覚が身に付いて、速読できるようになっている

これを続けてると、速読できるようになる。心の中で声を出して読んでいる人は試してみると良いかもしれない。速読の練習は、ずっとしてると頭が悪くなるような気がしないでもないので、1分に1000文字ちょい上くらいになれば十分だと思う。普通に読書する人ならもっと早いから、こんな練習しなくていいです。3000文字くらい読めたら便利だけど、そこまでしなくてもいいんじゃないかな。

基本的に簡単で短時間で終る娯楽は、より気楽に楽しめる。速読できれば短時間で本を読めるようになる。読むのも簡単になる。今後は大量に本を読むぞーって思ったのであれば、先に簡単な本なら速読できる状態にしておくのが良い。簡単な本を読み飛せるようになると、難しい本もそれなりに速く読める。遅く読めば理解度が上がる。パソコンでタッチタイピングできるのと出来ないのでは、かなり効率が違うけど、速読も同じで読書が好きな人はだいたい速読できる。注意すべき点は、速読自体にハマらないようにっていうことで、あくまで楽しく読むためのツールとして上手くつきあっていくのが良い。

特定分野を効率的に学ぶ

24.入門書を最低3冊は雑に読む

25.普通の本を10冊程度読む

26.だいたい分かるようになっている

なんで3冊読むのかっていうと、同じことを何度もすると記憶に定着するからである。同じものを3回読むのダルいけど、違う本なら内容同じでも書き方とか紙質違うから飽きない。さらに違う視点で書かれているため、自分に合った方法で入門することもできる。どうせ三冊は読むんだから、ひとつの本を必死で覚えながら読まなくてもいい。これで3倍の強さで入門することができる。

3冊読むことによって、1冊だけ必死に精読したものの、それほど優れた本じゃなかった、大間違いなことが書かれていた、なんてリクスも回避できる。書籍を書く人が全て誠実で正しい人っていうわけでもない。入門書ならばって条件付きだけど、3冊くらい読めばだいたいの正しさに到達できる。

これは入門書に限ったことでもないけど、世の中には自分が学んだことに固執しちゃう人がいる。あれは苦労しすぎたからだと思うんだな。しかしそれが正しいなんて保証はない。文明が進むにつれていろいろな変化が起きるからな。学んだことは学んだこととして、新しい知識も受け入れられたほうが良い。

だから学習する時は、なるべく苦労しないほうがいい。入門書を読んでおけば、普通の本をより簡単に読むことができるようになっている。10冊くらいだったら余裕だと思われる。さらなる精度が必要だったら、

27.良かった本を何度も読む

28.同じジャンルの本をもっと読む

などすれば良い。これはわりと色々な人がやっている方法で、覚えておくとわりと便利だと思う。

難しい本を効率的に読む

29.タイトルを眺める

30.目次を眺める

31.前書を一所懸命に読む

32.速読でやった時みたくパラパラとページをめくり単語だけ拾っておく

33.準備体操のイメージで読むといいかも

34.普通に読む

35.超難しい本なら、雑に一回読んで普通に一回読んで、真面目に一回読む

これをすると、だいたいなにが書かれているのか、無意識のうちに理解することができる。結果的により速くより深く理解することができる。こちらもわりとしている人は多い。

あまりに難しくて全く理解できない場合は、

36.ページだけめくっておいて、とりあえず全部見ておく

読まずに見る。これをしておいた上で、その分野をずっと勉強していると、突如として見たことを思い出し、理解できたりして面白い。

人に選んでもらう

37.ちょっとでいいから知識のある分野の難しい本を探す

38.参考文献のページを開いて、手に入りそうな本をゲットする

39.その本と参考文献を読む

40.スカッと読める

これすると、苦労せずに人に選んでもらうっていう経験ができる。その分野に詳しい人が参考してるんだから、当然良いものが紹介されている(はずだ)。

参考にした本を読めば、参考にした本をより深く理解することができる。そうするとスカっとする。スカッとするのは良くて、読書の楽しみのひとつだと思う。

選ぶを放棄する

41.読む分野を決める

42.図書館へ行って本棚の一段を順番に読んでいく

43.面白くても面白くなくても読む

44.たまに良いものに当る

45.こういう経験が増えると、選ぶことを放棄することができるようになる

46.ついでに知識もつく

47.本棚を一段が面倒なら、他の方法もある

48.10ジャンルを1冊ずつ読む

49.五十音順に並んだ文庫コーナーで、"あ"から順番に一人ずつ、知らない作家を無作為に選んで読んでいく

50.自分の好きな方法を作ると楽しい

これの良いところは選んでないっていう点で、自分が選んでない本の中にも面白いものがあるってことが実感できる。実感できると本来ならば選ばない本を選ぶようになってきて、読書の幅が広がっていく。個人が持てる知識なんてものは所詮はショボいものなので、時に偶然に身をまかせたほうが良い選択ができるなんてことは多々ある。

辞書

51.辞書はあったほうがいい

52.スマホ向けので十分

53.デジタルを積極的に活用する

54.ネットで調べてもいい

面倒クセーって思うなら、別に辞書なしでいいと思う。あったほうがいいとは思うけど、基本的な作法に則って読まなくなるより、適当でも読んだほうがマシである。デジタルだと楽で、私の場合は EPWING 形式の辞書7つを串刺し検索してる。辞書の水準は国の文化水準でもあるんで、もっと辞書が売れて欲しいものです。

自堕落に読む

55.読むことに対して間違った方向に進んでいくと、そのうち内容とかどうでもよくなってくる

56.そうすると、自堕落に読むことができるようになる

57.徐々に文字があるとか、人がいるとか、考えがあるみたいになってくる

58.ここまで悪化すると時間の無駄でしかなくて、本を読まない人と同じ状態である

59.こういう人間よりも、本読まない人のうほうが、時間を無駄にしていなくて立派

60.そんなわけで本を読まないけど立派にやってる人は、コンプレックス持たなくてもいいと思う

どうでもいいまとめ

十分な知性があって社会的にも成功している人が、なにかの拍子に本を読みはじめ、微妙なことになったりする場合がある。そんな風になってしまったのであれば、上記の方法で遊んでみると、少しだけ症状が緩和するような気がしないでもない。

ちなみに本を読むっていうのは今のところ知識を得るための効率的な方法だけど、スマホで学習したほうが100倍効率的みたいな分野も徐々に増えてきている。過渡期なんで、なんでもかんでもググったら出てくるとか、その分野に精通している人に Wikipedia オススメってすすめたりとかっていう地獄もあるけど、全体的には良いことで、最近は無理して本を読むこともないかなって思ったりもしている。さっきも書いたけど、本を読むのが苦手なことをコンプレックスにしてしまうのは馬鹿馬鹿しいことで、本が嫌いな人は別の手段で遊んだり学んだりしたら良いと思う。

そして読書のあり方ってのは時代が進むにつれて変化していく。すでに機械が読んでくれる時代になって、私も読書を手伝ってもらっている。機会には マジ感謝だわ マジサンキュー、というわけで面倒くさいことは機械に押し付け、私自身はすでに99%娯楽のために読んでいる。あと数十年もすると、本っていうのは娯楽のためだけの存在ってことになってるかもしれないな、面白そうなんでみんなでそんな時代を愉快に生きてみたいものですね。