山下泰平の趣味の方法

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国立国会図書館デジタルコレクションはフォーマットのゲシュタルト崩壊を引き起こす

国立国会図書館デジタルコレクションで大量の資料を速読していると、文字の進行方向(縦書き/横書き、右/左)が一時的に分からなくなり、「縦書きって右から読むんだっけ?」となる瞬間がある。速読している(ユニット単位で目に入れて頭の中で組み立てるみたいなことをしている)ので、その状態でも読めるものの、普段無意識にやっている読字方向の判断ができなくなってしまう。

私が読んでいるのは、明治〜昭和期の資料である。右横書きと左横書きが併存しており、混乱しやすい分野だといえる。

ただし紙資料を読んでいた時に、こういう状態になったことがない。物理的な書籍であれば、右綴じ・左綴じは手に取ればわかる。意図した方向へ、ページをめくるという動作もある。混乱を防ぐ要素がある。

デジタルデータにはそれがない。資料の切り替えは一瞬で、20くらいの資料を切り替えながら読み進める。縦書きなら基本的に、右から左にすすむわけだが、国立国会図書館デジタルコレクションではまれに逆になることがあり、混乱に拍車をかける。

国際特信社 訳『米国教育使節団報告書 : マックアーサー司令部公表』,国際特信社,1946.9. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1272931 (参照 2026-03-24)

これは設定で変更できるが、面倒くさいためそのまま読み続けると、さらに認知負荷が上がり、「縦?横? 右か左か分からないがユニット組んで意味読みとるか……」という状態になる。

私はマイクロフィルムは数回しか使ったことがなく、マイクロフィルムで資料を読みまくっていた人がこうなったのかどうか判断することはできない。ただマイクロフィルムは、資料の切り替えに時間がかかるため、こういう症状を起こすのは難しいとは思う。まさにデジタルアーカイブ時代の新しい症状だといえるが、これを出すためには以下の条件を満たす必要がある。

  • 明治〜昭和の書字方向混在期の資料を
  • デジタルで大量に
  • 速読する

極めて限定的な組み合わせなので、同じ症状を自覚している人が何人いるのかは不明だ。

読字方向の判断が、実は手の感触やめくる動作に支えられていたことが分かったのは面白い経験で、この症状が出たら読むの止めて休憩するのが現実的な解決策だと思われる。しかしこの症状が出るということは面白くてたまらない状態なので、休憩するのは現実的ではないので打つ手がない。今後も俺は我慢して読み続けるんだと思う。頑張って生きていきたい。