この記事には「個人向けデジタル化資料送信サービス」をメモする際に、一緒にスクショをとっておくと便利だということが書かれている。
私が国立国会図書館デジタルコレクション(当時は近代デジタルコレクション)のメモを始めたのは2011年のことで、今では700冊分の書籍に関する4万文字くらいのメモがある。意外に少ない。国立国会図書館デジタルコレクションからダウンロードしたデータを読みながらメモするといったスタイルでやっていて、ダウンロードするツールは下記のものを使っている。
メモは一瞬で取れるようにしてある。私の場合は macOS なので Shell Script や osscript なんかで作っている。ショートカットは Karabiner-Elements でやってる。OS やツールはなんでもよくて、以下にどういう感じでメモしてるか書いとくので、そういう感じのものを作ったら良いと思う。具体的にどう処理してるのかを書いていないのは、環境に依存する部分(とあとバッドノウハウ)が多いことと、コンピュータ好きな人にとってはレベル低くて退屈で、興味ない人にとっては意味分からないといった微妙な感じだからである。
画像を読みつつメモしたくなったら command+shift+m を押すとメモ用のファイルに次のように追記される。
自活苦学生 苦学子 著 大学館 P100 明治三六(一九〇三)年 1903 2022-06-14 11:09:24:あああ
これにメモを書くといった感じ。ページ数を追加したい場合は command+shift+p で下記のようになる。
自活苦学生 苦学子 著 大学館 P100 明治三六(一九〇三)年 1903 2022-06-14 11:09:24:あああp068いいい
こういうふうに、ダウンロードした国立国会図書館デジタルコレクションのデータをメモする場合は手元に画像データがある。不明瞭だったり、確認が必要な部分が出てきた際にははそれを見ればいい。だからページ数だけ保存すればいいといった考え方である。
最近になって個人向けデジタル化資料送信サービスが開始され、やったぜと思ってたんだけど、こちらは画像がダウンロードできない。(めちゃ頑張ればできそうな気がしないでもないけど私には無理だった)なのでメモ環境を新たに作る必要があった。当初はこういう感じにした。
学生に与ふ 小泉信三 著 三田文学出版部 昭和一六(一九四一)年 1941 P204 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1069914/ 2022-06-07 14:59:22:さん付け。
URL をつけといたら見直すことができるだろうといった考え方である。ページ情報を取るのが難しくて(条件によってURLにページが含まれる場合があるけど一々判断するのが無駄)画面からページ部分をOCRで認識させメモに追記みたいな方法でやることにした。下のページのやつのをちょこちょこ書き変えてやってる。
しばらくはそれで満足していたんだけど、私はどちらかといえば悲観的な人間で、全てのサービスはいつか終ると考えている。今後も個人向けデジタル化資料送信サービスというか、国立国会図書館デジタルコレクションが今の状態のまま運営されるとは限らない。著作権満了の資料は画像データとして残っているため一定の安心感があるが、個人向けデジタル化資料送信サービスの資料はヤバいことになる可能性がある。そんなわけでどうすっかなーって考えた結果、ページそのものをスクリーンショットで保存することにした。
スクリーンショット単体では意味がなくて、メモからすぐに参照できるように目印をつけておかなくてはらない。そんなわけでファイル名をどうするか、ちょっと考えた。
1年分のメモ画像ファイルをひとつのフォルダ(2022とかそういう感じ)に保存することにして、選択肢は二つあった。
- 書籍の名前+日時=視認性が良い。ただしちょっとゴチャ付きそう。
- 日時=視認性は悪い。アッサリはする。
個人的には日時をファイル名にしたかったんだけど、画像をどう検索して探すのかというと、
- 日時の場合は日時で検索
- 書籍の名前だと書籍の名前、あるいは日時で検索
メモにはメモをした時間が追記されていくので、時間で良いのではと思ったんだけど、資料を日を跨いで読み続けた場合に一覧で出てこない。というわけで「書籍名+日時」にした。こういう感じ。
本文のみスクリーンショットも可能けど、付加的な情報としても扱えるので、あえてそのままスクショしている。
なぜこのフォーマットなのか
どのようなメモが相性が良いのかというのは、各人で違う。私の場合は次のようなフォーマットでメモをしている。
タイトル 著者 出版社 ページ数 出版年 メモした日時
いくらでも情報量は増やせるんだけど、メモは書くのと同じくらい読むのが大事なのでノイズは減らしたい。しかしインデックスがないとなにについて書かれているのかが分からない。というわけで個人的にはこれが一番視認性がいい。書誌ID や DOI が記載されていないのも、メモを閲覧する際には 1mm も役に立たないからで、必要になったら一括で取得したらいいと思う。ページ数があるのは物理的に触ることができない電子データだからこそ欲しい情報で、この時代のこのジャンルでこのページ数なら内容はこういう感じだろうといった目安になる。
メモした日時を書いているのは、人間は普通ひとつのジャンルを調べ始めたら、しばらくはそれを調べ続けるからで、日時を基点にして書いた長文やらダウンロードした資料にアクセスするために使う。
このフォーマットは私の個人的な趣味嗜好や特質、そして書いているものには適している。しかしメモというか読書ノート自体を装飾して楽しみたい人には私のやり方は無意味である。論文を書くための手法としても微妙、私がやるんだったらこのメモとは別に論文用のメモのフォーマットを作るとは思う。商売なりビジネスに活かすためのものとしても不適格だと思われる。
面白そうなので他の人はどうやってメモ取ってんのかなと調べてみたんだけど、良いと思ったのはこれだった。
記憶を呼びだすきっかけが多そうで、電子データでもできたら良いと思うんだけど、なかなか難しそう。
自分で作ったほうがいいけど作れない人もいると思う
こういうメモはコピペでもできるものの、コピペを1000回とかするのはイカれていると思う。あと楽じゃないとメモの量も減る。ちょっと興味が出たので私が年度毎に何回メモを取っているのか調べてみたんだけど、以下のような結果だった。
年度 回数 2011 029 2013 035 2014 081 2015 069 2016 011 2017 041 2018 048 2019 081 2020 052 2021 115 2022 098
2014年に一度増えているのはなんか改良したからだという記憶がある。2016年が減ってるのはトラブルがあったのか、飽きたのかよく分からない。2021年に一挙に増えてるのはパソコンを買い替えて性能が上がったからで、2022年がすでにかなりの数になっているのは、今回書いたようなものを加えてたことでメモシステムがさらに良いものになったからだ。もちろん情熱や義務感でもメモは取れるけど、このようにテクノロジーでメモの数を増やせるんだから、テクノロジーのパワーでメモを増やしたほうが良いと思う。
ここ最近、何度か国立国会図書館デジタルコレクション関連の記事を書いてるのは、もともと最高なのに個人向けデジタル化資料送信サービスも加わって良すぎるものとなり、こんなに最高に良いものがある状況はとにかく最高で最高なので、多少なりともノウハウを共有したくなったからである。
あとこれ使って変なことする人が出てきたら良さそうだというのもあって、そのためにはメモは良い友になる。私がやってるのはそんな難しいことではないので、作れる人は自分で作ってみて、無理っぽい人らは何人かで集って、ちゃんとした人に金払って Chorme とか VS Code の拡張とか作ってもらったら良いと思う。