山下泰平の趣味の方法

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食べるのは一瞬問題

時間をかけて料理を作ったのに食べるのは一瞬だなといった感情があるけど、あれってちょっと変だと思う。異常なまでに硬くて変な臭いがするため、食べるのに30時間ほどかかる食事を30時間かけて作ったとすると、調理と食事の時間が均等になるけどそんなことを求めている人はいないだろう。

そもそもだが料理を作る目的は『栄養を取りやすくする』ことである。切るのも加熱するのも美味くするのも食べやすくするためであり、そこに作る楽しみといったような文化的な要素が加わることもあるが、基本的に吾々は『栄養を取りやすくする』ために料理をしている。食事時間を長くするために料理を作っているわけではない。だから調理に10時間かけて料理を作ったとして、美味かったり柔らかかったりの要素が加わって結果的に『栄養を取りやすく』なっていたら成功で、1分で食べ終っても問題はない。

理屈では分るけどやっぱり長時間かけて調理した食事が一瞬で終ると変な気持になるっていうのも分からないでもないけど、異様な香りがするものすごい固くて分厚い干し肉のようなものを作り上げて50時間くらいかけて食べ続けたら満足できるのかっていうとちょっと違うような気がする。ようするに手間のわりに満足感が低いってところに問題があって『時間をかけて料理を作ったのに食べるのは一瞬』な状態に不満を感じる人は『時間をかけて調理したのに食べるのは一瞬』の他に問題をかかえているような気がするわけだけど他人のことをそんなに心配している余裕もないのでこの話はこれで終りです。