山下泰平の趣味の方法

これは趣味について考えるブログです

わりと頑張って書いたけどそれほど読まれなかった記事一覧

私にはたまに狂ったように、ひとつのことを調べる時期がやってくる。後に気が向いたら、調べた結果をまとめて記事にすることもある。狂ったように調べるくらいだから、私はものすごく面白いって思ってるわけだけど、それがどのくらい読まれるのかは分からない。思っていた以上に読まれることもあるし、全くダメな時もある。

読まれるものと、読まれないものの差はよく分からない。ただわりと頑張ったけど読まれなかったものは供養してあげないといけないなっていうのがあって、その一部を書き換えて本に入れてみたり、別の記事で紹介したりする。

そんなことをした上で、それでも実に読まれなかったなといった思いが残るものがあるので、本日はリストにしてまとめてみようと思う。

無茶な旅行関連の記事

明治にわりと下の階級に生れちゃった若者が、社会のルールを踏み破ろうとする様子にずっと興味を持っている。方法は色々あるのだが一番好きなのは旅行で全てを解決しようとする人々で、面白がってかなり長い期間調べ続けている。この現象に関する記事で、読まれなかったものは2つあった。

子規の旅行とバンカラ旅行

cocolog-nifty.hatenablog.com

これを書いた時期は、まだ無茶な旅行の真価が分かっていなかった。旅行には鍛錬と娯楽という目的があり、鉄道が出きたから徒歩旅行という概念が発生したくらいの考えしかなかったので、今から読むとイマイチな感じがする。

子規の無謀、漱石の豹変、龍之介の演出、三者三様の夜間旅行

cocolog-nifty.hatenablog.com

そこそこ明治の若者たちの無茶な旅行のことが分かってきたので、話題にして本にでもするかと思って書いた記事であるが、マジに読まれなくて残念だった。実は『ゴールデンカムイに触発されて明治四十三年に書かれたアイヌのヒロインと不死身の豪傑が旅する講談速記本を24000文字くらいかけて解説することにした』も無茶な旅行と多少は関連しているんだけど、こちらは今調べているところっていう感じである。

明治の女性に関する記事

明治時代は建前上みんなが平等であろうとした時代で、意外にも女性が活躍する冒険活劇は多い。まあ微妙っていえば微妙なんだけど、面白いのでたまに目にすると調べている。

もうひとつ、一般的に扱われているメインの女性開放運動とは別に、普通の人の善意から発生した女性を助けよう運動のようなものがあって、そちらも目にすると調べることにしている。

明治大正娯楽物語における闘う少女の系譜を描く2万文字

cocolog-nifty.hatenablog.com

女性ヒーローの系譜といったものをまとめようかなと考えていた時期に書いた記事で、内容の一部は書籍でも使っている。

これを書いた後で分かったこともいくつかあるので、今ならもうちょっと女侠客に重点を置いくなっていう感じがする。

明治四二年の雑で粗削りなフェミニズム

cocolog-nifty.hatenablog.com

面白い事例を発見したので、フェミニストの人が興味を持つかなと思い記事にしたのだが、ほとんど読まれなかった。このあたりはいつかまとめてみたいような気がしてるんだけど、題材も実力も不足しているといった認識である。そのうち狂ったように調べ出すかもしれない。

ちなみに表立ってテーマにしなかったけど、こちらの本でそのあたりの現象は取り上げている。

まとめ

私は基本的にどんな内容でも同じ品質になるように書いているので、読むものと読まれない文章の差がよく分からない。タイミングとか、キャッチーさなのかなとも思うんだけど、その辺りはあまり変える気はなくて、例えばなんだけどインターネットでは短かくて断言しているものが好まれる。だけどそれをするってことは読む人をナメてるっていう気がしているので、あまり好みではない。これからもこういう調子で書いていくつもりである。

それとは別に、社会の状態といったものがあるなとも思っている。

過去のことを調べていると今の時点では公言できない事柄、タブーと出合うことがわりとある。タブーでなくても話したところで理解してもらえないといった状況もある。こういうのは仕方のないのことで、大丈夫になるように待つしかない。実際に放置してたら大丈夫になってたみたいなこともあり、実は明治娯楽物語もここ10年くらいで変ってきたかなっていう感触だ。

今回リストにした記事は、明治の若者たちの旅と明治の女性に関する内容だった。明治の若者たちの旅については、すでに発表できる雰囲気だと思うんだけど、よく分からない。もうちょっと世の中が悪くなってからのほうがウケる気がしないでもない。明治の女性に関しては、まだまだ難しいといった感触で、まずは通常の女性開放運動に関して、もう少しみんなが理解してからのほうがいいのかもしれないなどと考えている。

最近になって難しいものだと思っているのが、急激に過去は大丈夫だったけど今はダメ(タブー)といった状況が増えていることだ。これまで公言してはならないことは、ある程度は明確な集団があって発生するというような認識だったんだけど、そこらの構造も変化しているように感じている。もしかするとこれまで書けていたことが、駄目になるってこともあるのもしれない。

話してはならないことが大量にある場所になってしまうのは、基本的に文化程度が低くなっていった、あるいは間違った行動がなされていた結果だと私は考えているので、今後新たにそういったものが発生しなければいいのになっていう感想である。