私は一人で学ぶのが好きで、基本的にずっとそうしている。学校にいた頃は授業を受けてはいたけど、大勢の前で一人が話しているのを理解することがものすごい苦手で、高校の終わりあたりで一人でやろうと決めた。それからそういう感じである。だから一人で学ぶのが好きというよりは、それ以外の方法を知らないというのがより正しいのかもしれない。
運転免許以外の学校的なところでちゃんと勉強したことないから想像だけど、他人と学ぶ場合は、だいたい基本的には期間と目的、学ぶルートが設定されている。だから学ぶ期間と、終わった後どうなるかもざっくり理解できる。しっかりとしたガイドもあるので、一通り終りまで学べることが多いような気がしている。
それに比べると、一人でなにかを学ぶのは面白いけど、終わりやルートが曖昧である。明確なメリットがない場合は、世の中にはもっと知ってる奴はいるし、これを学ぶ意味があるのかなってなることもある。あと独学だと、学んだ後で実用化するのも自分でやらないといけない。こういうのは独学のデメリットだと思う。
これはなかなか難しい問題で、私も何度かよくわからない感じになったんだけど、最近は必要なだけ学ぶノウハウが蓄積されてきた。次のようにすると、だいたい上手くいく。
- 困っている、困っていないを基準にする
- 知ってるだけで十分なら満足する
- 他人と比較しない
学んだ結果は絶対に生活する上で使うというルールを設定し、困らなければ問題なしとしている。あと他人と比較すると、無限の学習が必要となるので、基本的に他人は無視をする。困ったから学ぶといいう姿勢であれば、実用化する方法を考えなくてもいいし、学んだ瞬間に役立つため長続きすることが多い。
続いて具体的にはどやってるのか、個人的にここ数年で学んだことを列挙して、どの程度までできるようになったか、出来ないことはなにかをリストにしてみる。
自転車
学習方法
ネットで検索したり、部品を買って組んでみたり調整したりした。意識的に学習した期間は1年くらい。
出来る
- 購入時に選べばとりあえずメンテナンスや部品の交換ができる
- 調べればパーツの規格などが理解できる
- フレームを買って一台組むことができる
出来ない
- ホイールを組む
- 自転車で一日に240キロ走る
- レース用の自転車を組む
不便だからっていう理由で自転車を買ったんだけど、快適な移動をするために主としてネットで独学した。手軽にメンテナンスできる部品で組まれた自転車なら、一人でだいたい面倒をみることができるようになった。主として通勤とスーパーで晩飯のおかずの材料を買うために使っているので、競技用自転車に必要なノウハウはいらないといった感じである。
自転車はなかなか面白く、追求しはじめると終りがない。だから自分はこのあたりでいいかなってところで止めた。
Tasker
学習方法
ネットで検索して触ってみた。意識的に学習した期間は1週間くらい。
出来る
- 検索しながら動かす
- アプリを成形する
出来ない
- それ以外の全て
スマホでメモ環境を作るために学習した。
最短で必要なアプリが作れそうな感触があり、検索して独学しできるようになった。他にもいろいろできるんだろうけど、Tasker 自体の UI があまり好きではなく、必要最小限しか触っていない。
Docker
学習方法
ネットで検索して触ってみた。意識的に学習した期間は1日くらい。
出来る
- コピペで起動させる
出来ない
- それ以外の全て
Kindai.rb を使うために学習した。
インストールしてコピペで動かすみたいなことができるようになった。Doker で自分の作業環境を作ってもいいかなと思ったんだけど、そういう用途に向いてるのかどうかよく分からなかったんでするのは止めた。一般的には Doker がどのように使われているのかすら知らないのだが、別に困ったことはないのでよしとしている。
地理
本を買って学習しつつ、アプリで遊び、ネットで検索した。期間は2ヶ月くらい。
出来る
- 47都道府県をだいたい覚えている
- 地名が出てきて検索すると場所がわかる
- 地図を眺める
出来ない
- それ以外の全て
明治の旅行法のことを調査していて、地理のこと知らなすぎると支障がでるので学習をした。ちょっと本格的に詳しくなろうかなと思い、吉田東伍の「大日本地名辞書」とか読むかなーと考えたんだけど、40歳すぎて地理のことをなにも知らないということは地理に対する才能も興味もないってことなので、あんまり頑張るのは止めた。
とりあえず子供向けの日本地理入門みたいなのを読みつつ 47都道府県の場所をスマホのアプリで覚え、旅行記みたいな本に地名が出てきたらグーグルマップで検索するようにした。その結果、九州の佐賀と長崎の上らへんに湖と山と川と海があり、桜が続いてる場所に秀吉ゆかりの桜とかあるみたいな感じの曖昧な情報は徐々に増えてきている。現在も本を読みつつ地名を検索する活動は継続しているが、もう充分なので地理だけを学習するのは止めた。地理を意識することで、全体的に人生が面白くなったのは予想外の収穫だった。
独学雑感
こうして見ると新しく学んだことに関して、あまり知識は増えていないんだけど困ってない。自分が困っていないということは、必要にして十分だということで、実際に生活するのは学習前の3倍くらい便利になっている。知識ゼロと知識1にはすごい差があって、少し知ってるだけで超便利みたいになることがある。
話がちょっと変ってしまうんだけど、今の世の中は知らないっていうことに対する風当たりが強い。だけど私は別に知らなくてもいいことについては、ムシってりゃいいと思っている。
私は個人的にマイナー文化を調べているので、私が好きな事柄はあまり世の中に知られていないという前提で生活している。
「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本
- 作者:山下 泰平
- 発売日: 2019/04/26
- メディア: 単行本
だからよけい思うんだけど、自分が知っている知識を、他人も知っているのは当たり前っていうのは傲慢だなとも感じている。
去年は明治38年あたりから20年の間に発行された、とある新聞の特定のコーナーを読んだ。なんでそんなことをしたのかというと、時代の感覚をつかみたかったからなんだけど、そんな学習はほとんどの人にとっては必要ない。事実、その一部を以前にまとめたんだけど、ほとんど反響もなくみんな興味がないだなっていう感じであった。
他人が興味を持たないなら学ぶ意味がないわけでもなくて、面白く楽しい時間をすごしながら、自分が求めている能力を手に入れたんだから、それで十分だと思う。私は自分が学んだことをまとめたりもするけど、それが第一の目的ってわけではない。独学することで生活を便利にしたり自分を面白がらせるのが一番で、そういうことをするために自分一人で学習するとちょうど良いくらいに学べるようになると思う。
簡易生活のすすめ 明治にストレスフリーな最高の生き方があった! (朝日新書)
- 作者:山下 泰平
- 発売日: 2020/02/13
- メディア: 新書