山下泰平の趣味の方法

これは趣味について考えるブログです

なにかを始める場合に無駄になる時間を用意しておくと効率が良い

今回の概要。

  • なにかを始める場合には、無駄になる時間を用意しておくと続けやすい
  • 類似の経験があると、効率良く無駄になる時間を用意することができる

私は明治の文化を調べて遊んでいる人で、かって明治の新聞を読もうとしたことがある。この時は気合がわりと入っていて、きっちり記録しながら読もうとしていた。

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国立国会図書館デジタルコレクションのデジタルデータを読み、情報を記録するノウハウはわりとあった。メモのフォーマットも確立していて、こういう感じでやっている。

冒険旅行術 村上濁浪 (俊蔵) 著 大学館 P125 明治三五(一九〇一)年 1902
2011-07-07 15:49:35:冒険の心得的なことが書いてある。 日本ではなく主に海外、本格的。

書誌情報と、出版された日時、メモを書いた時間を記載している。これを新聞に応用すると、全てのページを流し読みしながら、新聞の気になった記事の画像データを保存し、調べた日付に加えて検索できるように新聞の発行日とともにテキストでメモを残すといった方法になる。全体的には次のような雰囲気になる。

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メモ+良いと思った画像を保存するといった雰囲気なのだが、これが全然ダメで、半年分くらい読んだところで挫折してしまった。

私は明治の書籍データで長く遊んでいる。だから新聞でもできるだろっていうのがあったのだが、これは単なる慢心だった。新聞と本は別のメディアである。だから全く別の読み方をするべきだし、異なる記録の方法を探し出す必要がある。

考えてみると国立国会図書館デジタルコレクションに関しても、3年くらいはメモなど一切とっていなかった。面白がって延々と読み続けるのみで、かって読んだのだが特定できないといった書籍が、未だに大量にあるくらいだ。かなりいい加減なことをしており、読んだはずの本を特定することができないのだから、時間を捨てていたように感じなくもない。

その後、必要性がでてきて、ようやく嫌々メモをとるようになったのだが、その頃にはなにが重要でなにが重要ではないのかが理解できるようになっていた。そんなわけで、最適化されたメモをとることができたわけだけど、そういった活動を続けるうちについに新しい本が出ました。買ってくれよな!! ヨロシク!!!

簡易生活の方法 明治にストレスフリーな最高の生き方があった! (朝日新書)

簡易生活の方法 明治にストレスフリーな最高の生き方があった! (朝日新書)

  • 作者:山下 泰平
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2020/02/13
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話を戻すと新聞の場合は、最初に絶対にこうだと決め付けて始めたため、間違った方法で延々と進んでしまったということになるのだろう。対象とするものにどういった特徴があり、どう扱うべきなのかが理解できるまでは、正しい方法は思い付かない。そんなわけで捨てる時間を設定し、しばらく新聞で遊ぶことにした。具体的には次のようなプロセスで、無駄な時間を消費していく。

  1. 40年分の新聞データをパソコンとスマートフォンに入れる
  2. 暇な時に最初から流し読みをしていく
  3. 1年ごとに3つなど年代別に読む
  4. 新聞のページ数を抽出して眺める
  5. 特定ページのみ10年分読み続ける

以上は国立国会図書館デジタルコレクションを読み始めた際に起きたことを、新聞に最適化した上でリストにしたものだ。国立国会図書館デジタルコレクションだと1-5に辿りつくまでに3年かかったけど、新聞の場合は計算していたので半年くらいで5まで進めた。最初は面白い面白いで読んでいたのだが、『3. 1年ごとに3つなど年代別に読む』のあたりになってくると、当時の新聞の構造がなんとなく分かりはじめる。『4. 新聞のページ数を抽出して眺める』ことで、時代ごとの変化が把握できる。

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そうすると特定のコーナーだけ読みたいといった欲望が発生してくるので、『5. 特定ページのみ10年分読み続ける』。そうこうするうちに、記録しておきたい部分が出てくるので、今のところはこういう感じにメモをしている。

19090603 雅号はクソ
19090608 悩み相談
19090610 悩み相談
19090611 悩み相談反響
19090616 相談の相談コーナー設立
19090627 朝顔が生えない
19090701 質問、美人の妻がいるが、菜園を借りたい。ナメクジ食える。電話交換手が威張る。

ひとつの新聞の三面記事だけを流し読みしているので、記事の特定のために必要なのは日時のみ、加えて軽いメモといった構成だ。新聞の種類が増えた場合はどうするのかとか、色々な課題は残っていものの、もうしばらく捨てる時間を使いながら考えていきたい。

捨てる時間を短縮するのは経験がないとできないことで、今ちょっと知識を暗記するという作業と、数学の勉強を学校っぽくやるというようなことをしているんだけど、こちらは見当もつかないといった感じである。ちょっと面白いかなという気持になっては飽きるの繰り返しで、なかなかやり方が確立できないんだけど、そういう時間も悪くないなと思うので、遊び気分で続けたり止めたりしている。

個人的には捨ててしまう時間は新しいことを始める際には絶対に必要だと思っていて、この間に安いからという理由でジムの会員になったんだけど、一回も行かずに解約してしまった。これは捨てるための時間がなかったからで、何度か意味もなくジムにいくというようなことをしていたら、今も通っていたような気がしないでもない。

ちょっと難しいのが、経験をつむと成果がでてしまい、捨てる時間を惜しいと感じてしまう現象である。私の場合だと今はこれまで調べてきたことを、知識を補完しつつまとめていくフェーズに入っている。無駄な行為をしている場合ではないなと思ったりしないこともないのだけど、仕事の質を大幅に上げたり、違う価値を与えたりするためには未知で無駄なことをしなくてはならない。未知で無駄なことをするためには、捨てる時間が必要になってくる。というわけで効率的にやりすぎないで、捨てながら無駄なことをしたほうがいいんだろうなと、今のところは考えている感じです。