『この世界の片隅に』って映画があって、戦時中の日常生活が詳しく描かれているらしい。それがわりと評判が高いという話を聞いて、ヘーって思った。ちょっと前だったら観て怒り出す人もわりといたんじゃないかなって感じがした。
私が子供の頃には平和教育?みたいなのがあったんだけど、とにかく戦時中というのは悲惨で最悪だったみたいなのを教えられた。今の私はオッさんだから雰囲気を読むけど、子供というものはバカである。「先生ー戦争中にも調子コイて腹踊りしながら鉄砲で撃たれて死んだ奴とかいるんですかー」みたいな質問してすごい怒られたりした。戦争中にも調子コイて腹踊りしながら鉄砲で撃たれて死んだ奴がいたのかどうか、それは分からないけど、子供だったらそういうことに興味を持つのは当然だと思う。しかしそういった素朴な質問すら許されないといったような重々しさが平和教育にはあった。
大人になってから色々なものを読んだり人に話を聞いたりするうちに、教育を受けたのと違っていて戦争中もわりと面白いことしてる人らがいたってことが分かってきた。日本海側だと魚が採れたから飯大量に食ってたとか、ある時代までは若者が出征する時に宴会好きなオッさんが調子コイてメチャ宴会してたとか(統計データあったと思う)、病気で戦場に行けない兵隊が集まって塩作り作戦?を決行して地元の人とわりと楽しく塩を作りながら生活してたとかそういう話である。
なんか噂と違うよなーって感じだったけど、考えてみれば当り前の話で、人間なんだからどういう状況でも生きてる限りは色々なことする。四六時中苦痛だったりするわけない。私は暗いの嫌いなので戦時中のこととかほとんど調べたりしない。明るくて陽気な明治やら大正時代のことばかり調べてるんだけども、やっぱりそういう時代の人も普通に生きてる。ところがそういうことをそのまま書くと、怒り出す人がわりといてかなり鬱陶しい。かって人が生きてて、なにかをしていたってのは事実でしかなくて、それはそうとしか言い様がない。
『この世界の片隅に』は映画だから、大量の人が観るっていう前提で作ってあると思う。そういう作品が、昔だったら怒る奴らが出てくるような作りになってるのは、個人的にはちょっとした驚きだった。今でも『この世界の片隅に』を見て主人公に戦争責任はないのかッ!!! とか怒り出す人いるみたいだけど、ネットの感想を観る限りは少数派なんだろうなって思う。
出来が良すぎるからなのか、近年急激にそういう人が減ったのか、時代が変ってしまっていたことに私が気付いていなかっただけなのか、それはよく分からないけど、とにかく映画の評価が高いのは素晴しく良いことだと思う。
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