山下泰平の趣味の方法

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歴史ハラスメントについて

歴史ハラスメントというのは私が勝手に作った言葉で、この話の続きになる。 歴史ハラスメントの例を出すと、こういう感じです。

ブームになっている日本刀も同様だろう。たかだか1000年の歴史しかなく、日本の人口の1割も満たない階級がもっていたにすぎない武器を「日本民族の守りの象徴」「古来日本人が持つ魂」などと平気で言ってしまう歴史認識の上に、『刀剣乱舞』というゲームがあり、刀剣本のブームがある。http://lite-ra.com/2015/05/post-1065_3.html

この記事では『たかだか1000年の歴史しか』ないため、『古来日本人が持つ魂』ではないと書かれていて、この理屈で行くと日本だとハニワがすごい古いから、ハニワが『日本人が持つ魂』だということになる。俺もお前も心の中にハニワを持っているとか言われて、成程と思う人はかなり脳がヤバい。ハニワの最新版はハニマルというドラマで、無知な人型泥人形を馬型の泥人形が馬鹿にするといった泥試合が描かれる最悪の物語であり、これが『古来日本人が持つ魂』だったら絶対に日本に住みたくないというのが大方の意見であろう。

ハニワは古すぎるしそんなの屁理屈だろとかいう話になるかもしれないけど、縄文は駄目で万葉集は良くて日本野球はダメ、日本刀は拒否だけど紺屋のヘラは ok とか意味が分からないし、そんなもんお前の好みじゃねぇの?みたいな話になってしまう。

それはそうとして『たかだか1000年の歴史しか』とか『一割』しか使ってないから、日本刀はダメとかいうのは、どう読んでもギャグとしか読めないからそれはそれで良いと思うし、日本刀が嫌いなのも自由です。こういうことを国内でやってる分には、別にかまわない。

だけど海外には、古いものがない国も大量にある。1000年はもちろん、明治以降に出きた文化は新しくて、文化的に下等とか言い出すと、わりと文化が皆無になってしまう国がある。

歴史やら文化を持ってる国が、持っていない国にプレッシャーをかけるというのはわりとある。あるものは仕方ないんだけど、個人的には見苦しい。こういうのを私は勝手に歴史ハラスメントと呼んでいて、とにかく最悪だと思っている。

古いものは良いという価値観を基準にして他の国に圧力かけると、古い文化が残ってない国は、歴史をムリクソでっち上げるみたいなことになる。

マーライオンは良いってことになってるけど、日本だとあれより古くて似たものがその辺りに大量にある。それじゃ日本人はマーライオンを馬鹿にして良いのかっていうと、別にしても良いけど下品だし馬鹿にする必要ない。今後どうなるか知らないけど、マーライオンは実に良いという扱いをしながらすごい時間がたつと、自然に良いものになる。日本にある良いとされてないマーライオンに似た古いものは、破壊されて消える。文化なんてものはだいたいそういう感じです。

日本に限ったことでもないけど、文化なんてものは、残ってるものは愛でて、発生したものが好きなら大事にするというので十分で、新しいから駄目だとか古いから良いだとか、そういう雑な基準自体どうでもいいとすら私は思っています。