山下泰平の趣味の方法

これは趣味について考えるブログです

オリンピックでサマータイムがマジだった

最近スゲー暑いしオリンピックでサマータイムを導入しますッ!!!みたいなニュースがインターネットに流れてて、またインターネット糞サブ野郎が、換気扇のファンにくっついてる黒いネバネバそっくりのジョークを披露しているのかーって思い、我知らず笑みがこぼれたんだけど、オッさんがマジでオリンピックでサマータイム導入するとか発言しててヤバかった。最近は世の中狂いすぎていて、テレビがないとインターネットの記事ががコラ画像に見えてしまうっていう弱点が出てきましたね。

これまでサマータイムを導入して最高の気分になったっていう事例ないのに、なぜサマータイムを導入したいのか? 絶対に駄目なサマータイムを導入するっていうのは、飲んだら絶対に全身に気色の悪い斑紋が出る上に、常に耳の裏から臭い汁がドバドバと滲み出る毒を飲むのと同じである。絶対に全身に気色の悪い斑紋が出る上に、常に耳の裏から臭い汁がドバドバと滲み出る毒を考えなしに飲む人なんているのか? でも考えてみるとオッさんの中には身体の一部に気色の悪い斑紋を持つ者もいる。そしてオッさんは耳の裏から臭い汁をドバドバと滲み出しながら睡眠し、加齢臭で枕を臭くしながら生きているわけで、オッさんに憧れる若者ならば飲んだら絶対に全身に気色の悪い斑紋が出る上に、常に耳の裏から臭い汁がドバドバと滲み出る毒を飲むかもしれない。これは仕方ない。若い頃はなんでもかんでもチャレンジするのが大事だと思う。

しかしサマータイムは面倒だからチャレンジするの止めて欲しいし、私は絶対に大反対です。

サマータイムがオーケーなんだったら、もう時間とか勝手気儘にジャンジャン変更するのも許可されるってことになる。仲良し三人組のお菓子が大好きシュガーちゃんが一番好きなのはおやつの時間、だから1日に8度の3時のおやつのタイムを作ります。満ぷく太郎が大好きなのは晩ご飯、だから全てが夜の6時30分、1日中ハンバーグを食べて幸せそう、お外で遊ぶの大好きケンちゃんは、学校が終った3時30分から夕方5時がループする設定、迎えにきたお母さんは諦め顔で、「あなたは休む間なく、死ぬことすらなく、地上をさまよい続ける」と述べてそこを立ち去り、外で遊ぶの大好きケンに永遠に夜は訪れなくなり、その間も満ぷく太郎はハンバーグを食べ続け、昼飯を食ったお菓子が大好きシュガーちゃんは1日8度やってくる3時を待ち望んでいるわけだが、こんなことになったら日本は大混乱に陥ることだろう。

しかし後に我々は大混乱より恐しいもの、孤独を知ることになる。正午から3時を繰り返すお菓子が大好きシュガーちゃんと、3時30分から夕方5時に生きている外で遊ぶケンが出会うことが出来ない。彼らに30分の時を超える術は与えられていないのである。夜の6時30分に留まり続ける満ぷく太郎の孤独を思うと、ケンはいつも胸が締め付けられる。ケンと満ぷく太郎の間に横たわる90分は永遠の孤独だ。

2時間30分を遊び続けるケン(外で遊ぶという概念)は世界各地で目撃され続け、やがては遍在化し風景となっていく。ハンバーグを食べ続けた満ぷく太郎の肉体は拡張し続け、やがてはハンバーグと同化、昼飯(もちろんハンバーグ)とお菓子を食い続けているお菓子が大好きシュガーちゃんも2/3の速度で満ぷく太郎に追随し大地を超えてしまう。人類は彼らの中に生きることとなり、長い月日を経て風景となったケンと邂逅することになる。

彼らの孤独は、我々の孤独だ。しかし彼らの再会も我々の再会である。

時間がもたらした孤独を、我々は身体を使って超越する。過去に作られた優れた創作物を鑑賞し、感情が動かされるということ、それは過去の人物の身体を使った行為が、時を超えて我々に届けられたことに他ならないわけで、早速過去の創作物を鑑賞したいけど手頃なのがないなーって思って探していたら、面白いし日本文化を考察するのにも役立つ素晴しいものがありました。

note.mu

解説も付いている上に当時の挿絵までの掲載されている。こんな良いものを一体誰がネットに無料で公開してくれたんだッ!!って感動しちゃたんだけど、よく考えたら私でした今日も読んでくれてサンキュー。

もつれっ話 (ちくま文庫)

もつれっ話 (ちくま文庫)