山下泰平の趣味の方法

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私はこういう人です

戸澤雪姫を公開していきます

どうして練習中に水を飲んではいけなかったのか

昔の運動部は練習中に水を飲むのが禁止されていたりしたんだけど、なんでそんなことになっていたのか謎である。

体育会系は馬鹿だからだッ!!!みたいな人もいるんだろうけど、私はなんらかの習慣が発生したのには理由があるっていう考え方をする人なんで、ちょっとだけ調べてみた。ちなみに私は明治の娯楽物語が好きなので、その辺りからも考えています。

ちょっと思い付くのは

安易なのは、太平洋戦争によって発生した不合理な知識なんだッ! っていう決め付けだろう。

戦争中にどの程度の水質か分からない水を飲むのは、実に危険である。敵が毒を入れたりする場合があるからね。あと火傷で水飲んで死んでしまう人、出血している時に水を飲んで死んでしまう人たちを実際に見ちゃうわけだな。その外、軍隊の研究結果が曖昧な形で流布して……なんてパターンもありそうだ。そんなこんなで、水を無闇に飲むのは危険だという考え方が発生、それがスポーツに流用されたったっていう感じだろう。ただ本当にそうなのかなっていう疑問はある。

私の記憶だと、水を飲むとバテる、横腹が痛くなる、水を飲まずにうがいしろってなことも言われていた。それが軍隊と関係があるのかっていうと、ちょっと疑問が残る。

手負いに水は禁物だった

明治時代だと水を飲むなって話は、(私が知る範囲では)あんまりなかった。むしろ人体の6割は水分だから、水はすごく大切なんだっていう知識が流通していた。明治の人は、科学的な知識を流通しようと頑張っていたんで、こういった知識がしきりに書かれるわけである。衛生の知識も一般人に広げようと頑張っていて、水は大切だから奇麗なものでなくてはならない、良い水を飲むために金を惜しんではいけないっていうような知識も流通していた。水を飲むななんてことを言う人はあんまりいなかった。

ただし水を飲んではいけない状況もあった。娯楽物語的には、日本刀で切られた時に水は御法度だった。

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拳骨勇蔵 : 豪傑小説 三宅青軒 著 大学館 明治四〇(一九〇七)年

経験則によるものだったんだろうけど、大きな切り傷がある時に水を飲むと出血が増えるのは事実である。この知識はわりと明治の娯楽物語には登場する。これが転じて水を飲むのが危険ってなったのかなって思ったんだけど、スポーツとはあんまり関係がないような気がしないでもない。

昭和にあったのかも

明治や大正あたりの運動の本だと、練習中に水を飲むなってのを読んだ記憶がない。それじゃ昭和はどうなのかなって調べてみると、それらしい記述を見付けることができた。

『運動衛生学 総論 吉田章信 著 福村書店 昭和二三(一九四八)年』によると、「運動をすると汗が多く出る」から「失われた大量の水分を補給」する必要がある。しかし「必要量以上に渇きを覚え」水を飲んでしまう傾向があり、「心臓の負担」が増え、「胃を悪くし、食欲を減じ、又身体成分を消耗する」ことがある。その当時は西洋でも、水は1日に1-2リットル以上飲んではならないとされていた。対策としてはぬるいお湯を飲むことと、うがいをすることである……っていう感じであった。

一定の合理性はあったのかも

明治っていうのは合理性の時代だった。限られた知識ではあったものの、人々はそれなりに合理性に物事を考えようと奮闘していた。水が大切っていうのも、人体の6割は水分であるからで、体から出た水は補給しようっていう理屈が存在しているわけだな。

一方で娯楽物語経由で、切り傷に水は御法度といった豆知識を人々が知る時代でもあった。曖昧な知識だから流通する過程で、妙なものになったりもする。ただし「切り傷に水は御法度」が運動活の水飲むなっていう習慣につながったっていうのは考えにくい。

軍人経由で流通した知識だっていうのは、一定の説得力があるような気がしないでもないけど、資料として残っていないので保留としておく。多少の影響はあったのかなっていう気はしないでもないけど、スポーツしている奴って大怪我しているわけじゃないし、水質も保証されているわけだから、練習中に水を飲むなっていうのはちょっと意味が分からない。

そして『運動衛生学 総論』は戦後の書籍である。こちらに書かれていたのは、迷信ではなく当時としては科学的な知識であった。ただ知識っていうのは流通していく過程で、意味が消滅して形式だけ残ってしまうことがある。

ここからはあくまで推測なんで、推測なんだなって思って欲しい。まず大量に汗をかいた時に、水だけ大量に飲むとあんまり良くないっていうのは事実だ。体液の濃度が薄まるからな。梅干しとか塩食いながら水飲んだらいいんだろうけど、昔だからそういう知識が曖昧だったんだと思う。で、水をガブガブ飲んで「心臓の負担」が増え、「胃を悪くし、食欲を減じ、又身体成分を消耗する」といった状況が発生してしまう。人にとって自分が体験した事柄は、事実である。そしてそれは人に伝わることによって、形式だけが残ってしまい妙なことになったりする傾向がある。

そんなわけで、元々は水分の補給は必要だけど飲みすぎるのは良くないっていう知識が、形式だけ残ってしまい、水は飲むなうがいだけしろとなり、先鋭化した先生が面倒クセーし水飲むなっていう指導をしたっていうのが、今のところ私の出した結論なわけだけど、実は私は学生時代に運動部に入ってなかった。運動部の奴が練習中に水飲めないとかホザいてるの見みて、水とか水道からジャージャー出るわボケがってゲラゲラ笑ってたら、太股の辺りをオモクソ蹴られて痛かったです苦悩している人を笑うのは止めよう!!!!

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