山下泰平の趣味の方法

これは趣味について考えるブログです

技術より文化のほうが強いことがある

なにで読んだんだか忘れたんだけども、キリスト教がなけりゃもっとコンピュータは早く完成してたって話があって、その時はフーンそういう考え方もあるんだなって思った。

誰が言ってて、どういう理屈か覚えてないんだけど、とにかくその時はヘーっ思ったんだから、それなりに納得できるような話だったのだろう。

これは科学より文化のほうが強いっていう話で、そういうことは今も昔もわりと起きてる。今だとタバコがそうで、技術的には火のないタバコで置き換え可能です。

今は電子タバコっていうのが存在している。私は電子タバコに興味があって、数年前から定期的に買っては吸って飽きて止めるってのを繰り返している。

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で、今の電子タバコは、やりようによっては普通のタバコより美味い。ニコチンも吸入できるから、中毒になってる人も電子タバコに移行するのはそれほど難しくないと思う。

電子タバコは、

  • 熱すると煙が出る液体(リキッド)
  • 熱して煙を出す機械(アトマイザー)
  • 熱するための電源(本体)

という3つの部品で構成されている。とても単純な仕組みで、今よりより良くしようと思ったら、すぐに出来る。それだけの技術力を人類は持っている。

ところが電子タバコっていうのは、主に中国で生産されている。

面白いことに中国の製品っていうのは、性能は年々上っていくんだけど品質は変わらないっていう傾向がある。電子タバコも本体で電圧とか温度とか管理できるようになって、煙の量とか調整できちゃったりするんだけど、やっぱり品質は悪い。

中国の文化程度が低いからなのかなって思ったりもしたけど、老子とかいたし中国にだって文化はあるはずである。しかし品質はずっと悪い。意味が分からない。スマホなんかも中国の製品はメチャ性能が良くなっている上に安いんだけど、品質は悪い気する。この辺りの話は日本に住んでいて、中国の製品が好きな細かい性格の人に聞いてみるとよく分かると思う。

そもそも品質ってなんだよって話になりそうだけど、これは難しいので私には説明できない。とにかく人間の労働の中で抽象的な部分が、非情に雑な感じがする。もっと分かりやすく書くと、どうせ1年も使えば飽きるんだから壊れてもいいだとか、俺が使うんじゃねぇし知るかボケみたいな身も蓋もない雰囲気である。

細かい話は置いておいて、文化的な問題もあって、電子タバコ本体の品質はあまり良くない。だから電子タバコを常用しようとすると、3台くらい持っていなくてはならないけど、そんな面倒くさいことしたくないって思う。

またリキッドってのは、味を決める大きな要素なんだけど、中国で作られたものはあんまり美味しくない。こちらも文化の問題で、香料の研究とか進んでいる場所で本気になって作ったら、すぐにタバコより美味しいものが作れそうっていうのがある。

アトマイザーっていうのも性能は良くなってきてるんだけど、液体を入れるのが面倒くさいとか漏れるとか、メンテナンスが面倒くさいとか色々ある。

多分だけど日本の家電メーカーが電子タバコを作ったりしたらメチャ良いのが出来ると思うし、食品メーカーが本気でリキッド業界に参入したらもうタバコいらないやってなると思う。すでに技術的には、火を付けるタバコから、電子タバコへとスムーズに移行できる時代になってる。

でもそうそう上手にはいかなくて、例えばタバコを作ってるメーカーは困っちゃうんだろうし、法律とかあるから日本の会社が電子タバコ作るわけにはいかない。やっぱり中国しかないけど、品質悪いからなかなか難しいところがある。

人類の歴史からタバコが消滅するってのはすごい出来事な気がするんだけど、すごい出来事なだけに技術の問題だけでは解決できない。文化が追い付かないといけない。余談だけど嫌煙家の人は、電子タバコの普及運動したほうがいろいろ早い。

ここまで分りやすい事例は少ないんで、タバコ吸わない人でも、文化に興味あるんだったら、電子タバコはちょっと調べてみると面白いと思う。